脳損傷で英国に運ばれたオランダの王子めぐり尊厳死議論

2月にオーストリアでスキー中に雪崩に巻き込まれて
重症の脳損傷を負い、

英国の病院に運ばれたオランダのFriso王子(43)をめぐって、

オランダの政治家から「連れて帰って、生命維持装置を切るべき」との声が上がり、
「死ぬ権利」議論が再燃している。

王子はこの6カ月間、昏睡状態で、
妻がずっと付き添っており、母親のBeatrice女王も
毎週末にはロンドンに飛んでいるとのこと。

Heleen Dupuis 上院議員
「王子が再びノーマルな生活を送れるようになるか疑問。
もしオランダの病院に運ばれていたら
回復の可能性がこれほど小さい以上、
医師らは生命維持を切っていたはず」

ロイヤル・ファミリーは王子を自国に連れ帰りたがっているとも言われ、
もしも生命維持が切られて王子が死ぬということになれば、
安楽死法ができて以来の大物人物への適用となる。





ちなみに王子が事故当時、英国の病院に運ばれたのは、
自国オランダには25歳以上の重症脳損傷患者専門の治療機関がないためと思われ、
その情報については、こちらのBioEdgeの記事に ↓
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9958


オランダの国民は、
自分たちは無益な治療論が制度化された医療によって
受けることがかなわない「25歳以上の重症脳損傷」の治療を
王子だけは他国へ運んでもらって受けられている事態に、
疑問を持たないんでしょうか。


また、今回の上記記事を読んで、
いつも「無益な治療」論に思うことをやはり思います。

もともとの無益な治療論というのは
「救命可能性がない」「にも拘らず本人に苦痛を強いている」治療を無益とするものだったはずなのに、

ここで「生命維持を停止すべき」理由として挙げられているのは
「ノーマルな生活を送れるようになる見込みがない」。

ノーマルな生活を送れないなら、
救命は可能であっても死んでもらいましょう……?