「私とは、私の遺伝子なのか?」

コロンビア大の倫理学者Robert Klitzmanの
「私とは私の遺伝子なのか?」と題した論考。

遺伝子診断で個人の全ゲノムを読解する検査料金は
近く1000ドル程度にまで下がる見通しで、

既に患者のゲノム読解に取り掛かっている病院もある。

数年のうちには、好む好まざるを問わず、
多くの人がゲノムから自分にはどういう変異があるかを知ることになるだろう。

これまで検査を受けた人の中には
「自分は死ぬのだ」という意識にとらわれたり、
神の意図をそこに読み取ろうとする傾向が見られる。

遺伝子によってすべてが決まるという宿命論は、
では人間の自由意志には意味はないのか、という問題をはらむ。

我々は単に遺伝子と環境要因の副産物でしかないのか。
それとも自らの自由意志によってのみ支配される存在なのか。

科学者らは遺伝子診断を、
これまでの医学検査と同じように考えているが、

我々はまだ、
遺伝子診断がもたらす、こうしたジレンマに立ち向かうことができていない。

興味深いのは、
遺伝子診断で乳がんの遺伝子変異が見つかった女性の言葉で
「生まれて初めて、自分に宗教心があったらよかったのに、と思うわ。
宗教があったら、もっと楽だったのに、と思うの」

Am I My Genes?
By Robert Klitzman
Psychology Today, April 2, 2012


米国医学会新聞にも、この話題の記事ありました ↓
http://www.ama-assn.org/amednews/2012/04/02/hll20402.htm

もう一つ、Scientific Americanの記事で、
「実際のところ、ゲノム読解によって本当に病気が予防できるのか?」
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=whole-genome-sequencing-predict-disease