論争から5年、アシュリー父ついに動く

きた、きた、きた。やっぱり、きたっ! 

11日の”怪現象”で何かデカいのが来るとは思ってたけど、
ガーディアンからアシュリー父のインタビューが出た!! 



こちらはインタビューで言及された2人の子どもの母親への取材を中心に、
この問題について書かれた記事。

‘Ashley treatment’ on the rise amid concerns from disability rights groups
Ed Pilkington and Karen McVeihg in NY
Guardian, March 15, 2012


インタビューはメールで数週間かけて行われたもの。

(ちなみに、ガーディアンはグローバル・ディベロップメントでは
資金提供を受け、ゲイツ財団とパートナーシップを組んでいます)

長いやり取りですが、
特に印象に残った点を読みながらツイートしたので、
2番目の記事からの情報も補いつつ、以下に。


・もうすぐ15歳になる現在のアシュリーは、身長137センチ、体重34キロ。
07年段階で、135センチ、30キロだった。
成長抑制は成功している、とアシュリー父。

・Gardian側が、まずアシュリーについて聞いた後、次の質問で
「シアトル在住である以外には匿名であり続けている理由は?」と聞いているのが興味深い。
インタビュアーは07年の論争についてかなり調べているようなのに、
当初の3日間だけ出ていた「ソフトウェア会社役員」情報を、まさか知らないか?

・アシュリーは心身とも乳児と同じだから、成長抑制によりQOLを維持向上させるとの主張は
5年たってどうか、と問われ、5年前とほぼ同じ回答。
この間にアシュリーができるようになったのは、
首を上げていることができるようになった、
口に親指を突っ込む、耳から上まで手を伸ばして頭を触る、の3つ。

・この2年間で、6家族がそれぞれのピロウ・エンジェルにアシュリー療法を行い、
終了している。その他に現在治療中のケースが6家族。
それら家族とは連絡をとり続けているが、やり終えた人は、
けいれん発作と筋力低下の軽減にも効果があったと言っている。
アシュリーは、成長抑制により側わんの進行が止まった、とも。
「効果」が07年から追加されている。

・やった6家族は、07年以降に連絡してきた人たち。
論争でたたかれたシアトルこども病院はやらないので
私的な話し合いの場を作って助け合った。
このプランについては父親は08年に書いていた)

・そういう家族がコンタクトをとりあっているというのは、
いわば「アシュリー療法クラブ」みたいなものを作ったということか、との問いに。
プライベートな議論の場が"pillow angel quality of life support group"になっていった、と。

・6人のうち4人は米国在住。1人はヨーロッパ、1人はオセアニア
2人が男児。手術を受けたのは3人で、残りの3人は成長抑制のみ。

・けいれん発作や筋緊張が軽減された、というのは
6人の中の一人(女児)の母親から聞いた話。
エストロゲンで骨密度が上がっていると
整形外科医から聞いたという(男児の)母親もいる、と。

・07年の論争で多くの病院はやろうとしないから、
”family with means”(父親の表現。それなりの手段のある家族)だけしか
やることができない現状だが? と問われ、
米国内外にやってくれる医療機関も医師もある。
他の州や国へ逝かないとできないケースもあるが。

・A療法のコストは4万ドル以下で、ほとんどが手術関連で、保険で全額カバーされる。
自分が知る限り、手術以外も保険で出る。
07年当初に言っていたより、金額が上がっている)

・尊厳と人権に関する障害者運動からの批判については?
(メディアはここでも単純な対立の構図に持ち込む。
批判しているのは障害者運動だけじゃないっ)
父が言うに、本人に尊厳の概念がなく、乳児と同じニーズがあるのだから、
親がQOL向上のための治療で本人の尊厳を守るのであり、
優生思想になぞらえたり包括的に禁じようといった姿勢は、個人を害するもの。

・どんな支援やテクノロジーをもってしても、この療法の利益には及ばない。
そんなもので大きな胸の不快や生理痛はどうにもできないのだから。

・人の方ではなく社会の方を変えよとの障害者らの主張には同意。そうすべきである。
しかし、社会の変革はあらゆる障害像の人のために変革は行われるべきだ。
この療法は議論や批判ができる彼らを対象としたものではなく
障害者の中でも1%にもならない重症児を対象にしたものだということが
彼らには分かっていない。

・WPASが指摘した違法性については? 
自分たちの雇った弁護士の見解と違う。
不妊はアシュリー療法の目的ではなく、副作用のようなもの。

・親の決定権と、子どもを保護する行政の責任との関係については?
子どものことは親が決める。医療についてはそこに病院内倫理委が関与する。
そういうメカニズムができているなら、行政がそこに余計な価値を追加する必要はない。

(Norman Fostの声がうっすらと聞こえてくる。
ずいぶん準備をして受けたインタビューであることは間違いないし、
2010年には腰を低くして父親と連携姿勢を見せていた医師ら
今回の動きには全く姿を見せないというのも、なにやら、あざとい)

・この5年間でざっと5000通のEメールが届いた。
95%が支持する内容で、そのうち1100通が(重症児の)直接体験を持つ親と介護者だった。
 
・「そちらのブログに寄せられた親の言葉を読むと、
子が成人し親が介護できなくなって施設に入れるときの悲しみを語る多くの家族に、
施設もまた人権侵害だと考えさせられます」とインタビュアー。
こうして、施設入所という人権侵害を避けるために、という
筋違いの正当化の路線が引かれてしまう。

Yes, you're right, institutionalization is a form of human violation, especially when treatments exist to make institutionalization less likely.

・それに続いて、「論争で激しい批判が起こったために医師がやりたがらず、
金と権力のある人間だけの療法となってしまっている」。
(だから解禁しよう、とここで説いておいて、
5月の合意期限切れに向かおうというシナリオ?)

・最初の質問で to start with, can we please focus on Ashley herself.、最後の質問でも
what matters overwhelmingly in all this is Ashley herself. So we should end with her. 
07年にCNNがDiekemaに「初めて会ったアシュリーは、どんな感じでしたか?」と問い、
Diekemaが「とても素晴らしい御両親なんです」と答えていたことを思い出す


下の方の記事の主内容は
既にやった6家族のうち2人の母親への取材。次のエントリーで。