HPVワクチン、男児にも定期接種が望ましい、とCDC

米国 CDC (疾病予防管理センター)の予防接種委員会が
11歳から12歳の男児にHPVワクチン・ガーダシルの定期接種を推奨。

これまで言われてきた性器イボのみならず、
性行為によってHPV感染する恐れのある口腔、陰茎、肛門のガンが予防できるし、

男性でこれらを予防することが出来れば
間接的に女性の予防にも資することができるから。

13歳から21歳も、3回ちゃんと受けるように、と。





上にリンクした以外にも多くの記事が出てきていますが、
ちょっと面白いと思うのは、記事によって書き方が分かれていること。

それから、いくつかの記事に、
「ガーダシルはもともと女児に3回の接種が奨励されているものの
期待されたほどには接種率が伸びていないことから2年前に男児に向けても認可された」
という内容の一節が含まれていること。

09年にFDAが性器イボ予防効果で男児に向けにガーダシルを認可した際にも
自社の余りにえげつないマーケティング戦略が却って疑念を呼び、
女児への接種が伸びないことにアテが外れたメルク社が
挽回のために男児をターゲットにしているとの憶測がしきりに飛びました。

それについては、去年5月にシカゴ・トリビューンの記事を
以下のエントリーで紹介している通り。↓
HPVワクチン、今度は男児狙いときて親の警戒またアップ(2010/5/13)

その情報を含め、ガーダシルとメルク社の戦略については約1年前に
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」の中で
以下のようにとりまとめて書いています。

HPVワクチン、ガーダシル
同様に、ここ数年、ビッグ・ファーマの動きとしてメディアが注目してきたのが、子宮がんの原因となるヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)に有効とされる ワクチン、ガーダシルを巡る売り込みロビーの激しさである。製造元のメルク社にはブッシュ政権要人との強力なコネクションが取りざたされており、FDAの 素早い認可、治験の不十分、長期的な効果や安全性の未確認、特に認可からの2年間で30人を超える死者を出した、けいれん、マヒ、卒倒ほかの副作用に関す る情報公開などに、疑問の声が続いている。また不妊を引き起こす成分が含まれているとの指摘もある。
米国疾病予防センター(CDC)は現在、HPVワクチンを含めて17種類のワクチンを推奨しているが、義務付けの範囲は各州の判断となるため、製薬会社は 州政府に対して激しい売り込みロビーを仕掛ける。2007年にはテキサス州知事が小・中学校に通う条件としてHPVワクチン接種を義務付けようとしたが、 義務付けを提案した州政府の女性委員会にメルク社の関係者がいる事実が明らかとなり、議会によって知事の動きが封じられる事件もあった。
結局、通学条件にするよう州に強引に働きかけるメルク社のロビー戦略は却って親の不信を深める結果となり、同社は戦略を変更。しかし当初の見込みほど女児 へのガーダシル接種率は伸びなかった。メルク社は、男性の性器イボにも有効だとして、08年12月にFDA男児対象のガーダシル認可を申請し、去年10 月に認められた。
(中略)
ちなみに、HPVワクチンでライバル社に押され気味のメルク社が、今年1月、50億ドル規模のワクチン部門責任者として迎えたのは、ブッシュ政権の終焉と共に職を辞したCDCの前所長、ジュリー・ガーバディング氏――。


メルク社のガーダシルはグラクソ・スミス・クライン社のサーバリクスに負けたと
当初はもっぱら言われていたのですが、

やはり去年1月のガーバディング氏の天下りあたりから
俄然、猛烈な勢いの巻き返しが始まったものでしょうか。

日本でも09年に認可されたのはサーバリクスでしたが、
つい先ごろ、なんとも杜撰な議論によってガーダシルが追加導入されました ↓


この勢いで行くと、日本でも間もなく
男児にもHPVを、全額助成で」キャンペーンが始まるかも?

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なお、メルク社が
HPVワクチンをウガンダに持っていこうとしていることについては、こちらに ↓


途上国にワクチンを届けるとなると、
そこは「途上国支援」の話になるわけですが、
そういう話で見逃してはならない情報が、こちらに ↓