「“身勝手な豚”の介護ガイド」 3のオマケ: だって、spitzibaraも黙っていられない

直前の「“身勝手な豚”の介護ガイド」 3でまとめた辺りで、
私が特に個人的に思わずニンマリしたのは

個人的な印象に過ぎないかも、と断りながら、
ろくに役に立ってもくれないのに冷たくてエラソーで無神経なことばかり言う
「お役所」や「専門家」の中で、なぜかOT(作業療法士)だけはフレンドリーで
実際に役立つノウハウを繰り出してくれる人たちのような気がする、と。

これ、かつて、ほんのわずかだけど仕事でOTさんの世界を覗き見した、
また娘を通じてもOTを含め一通りの「専門家」と付き合って来た私の
個人的な印象とも重なる。

この印象が重なったのは、ちょっと面白かった。
これについては興味があるので、これからも考えてみたい。


それから、諦めずに言い続けること、というアドバイスは、私も
後輩の「障害児の親」になったばかりの人たちに必ず伝えたいことの一つ。

どこに行って誰に聞いたらいいか分からないことって、
最初の内は本当に沢山ある。途方に暮れる。

そんな時は、誰でもいい。
出会う人、出会う人、手当たりしだいに、それをしゃべってみるといいと思う。

「こんなことに困っている」「こんなものはないだろうか」
何にもならなくてもいいから、解決するまで、とにかく
誰彼となく、そのことを言い続けてみる。

いきなり、答えを持っている人に会えることは少ないけど(でも、ないわけではない)、
もしかしたら知っているかもしれない人を知っている人くらいには、そのうちに当たる。
ここへ行ってみたら? この人に聞いてみたら? という情報をたどっているうちに
ふいに解決に至ること、って、結構、ほんと、あったりする。

そんなふうに、あちこちしていると、それ自体が
世の中にどういう機関があって、そこにどういう人がいて……と、
自分の中の専門家情報を増強して、情報マップが充実していくし、
なにより顔見知りの専門家が増えていく。

そのうちに、どういうことは誰のところへ行けばいいかが
経験則からだんだんと掴めてくる。

ここで経験則というのが結構、大事なのは、
「この人はその分野の専門家じゃないけど、でも専門家よりもアテになる」てことは結構あるし、
専門家との付き合いで大事なことの一つに、たぶん、タイトルに惑わされないこと、というのも?
「ものすごくエライということになっている」タイトルの保持者が必ずしも実力者だとは限らない。

そういえば Marriottさんも、
断定的にものを言う専門家は、案外アテにならないことが多いと心得よ……と書いていたな。


私は「障害児の親」を含めた介護者がなるべく早く身につけたい一番大事なノウハウは
直接的な介護技術や介護のノウハウもだけれど、
なによりも「専門家をうまく使いこなす」術であり、
自分が頼ることのできる専門家という「手持ちのコマ」を
いかに多様に増やしていくかということじゃないかと思っている。

よく、専門家の中には
専門家並みの高度な知識を身につけている親を高く評価する人があるけど、
あれは、ちょっと違うんじゃないかなぁ。

(我が子の養育・療育に必要な知識まで身につける必要はないと言っているわけではありません)

専門家が持っている高度な専門知識というものは、私に言わせると、
広く大きな部屋の、ある特定のスポットを照らす懐中電灯なんだと思う。

専門家が専門家たるゆえんは、狭い領域のことを深く知っていること。
スポットであって、狭いことにこそ、意味がある。

一方、親と子が日々を暮らしている生活という「部屋」は、
専門分野の懐中電灯1本や2本でカバーできるはずもないほど大きく広い。

だからこそ、いくつもの専門領域に渡って何人もの専門家が関わってくれないといけないんだけど、
でも、それぞれの専門家が持っているのは1本の懐中電灯でしかないし、
何人集まったとしても、部屋の全体を照らし尽くせるわけでもない。

人が暮らしている「部屋」には、ちょっとやそっとでは明りに照らし出せない
入り組んだ隅っこや、隙間や、闇の部分だって、あるしね。

だから、必要な時に必要な懐中電灯で必要なところを照らしてもらえるよう、
多様な懐中電灯という手持ちのコマをなるべく増やしておくことが
障害児の親としては大事かな、と思うわけで、

そのためには、親がものすごい労力と時間を割いて
自分が何本かの懐中電灯になってしまおうとするよりも、
親こそが「うちの子」とか「我が家の生活」という部屋全体を知り尽くしている
しっかりした蛍光灯であることの方が大事なんじゃないのかな。

ま、言ってみれば「ウチの子」の専門家は親しかいない、ってことなんだけど。

これについては、もうちょっと頭の中でこなれてから
もう一度、ちゃんと整理して書いてみたいと思うけど。


あと、“身勝手な豚”さんも終わりのあたりで力説しているけど、
情報がほしい時、まっさきに聞いてみるべき相手は、実は専門家よりも、
自分と同じような“子豚”を介護している人たち。

ケアラーの最大の味方は、同じような人を介護しているケアラー。

これは、まったく私も同感。
ただ、私は情報源と支えてくれる人については全く同感でケアラーだけど、
現実に支援の方策を持っているのは、やはり専門家だと思う。

もちろん、どの専門家が役に立ってくれて、
どの専門家はただのトウヘンボクか、
どの専門家にはどんなクセや要注意点があるか、
といった情報を教えてもらえるのは、
やっぱり同じケアラー仲間。

それは間違いない。


             ――――――

しつこくて申し訳ありませんが、
数日中に、あと2つか3つ続きます。

ウンコと、殺意と、気が向いたらセックスと。