亡き夫の精子は妻の“財産”(豪)

生殖補助医療で子どもを産もうと計画していた
オーストラリア、ニューサウスウェールズ州のEdwards夫婦。

2人はIVF治療を始めることを決め、契約書にサインすることに。
ところがその前日、職場での事故で夫は死んでしまう。

夫の死の数時間後には妻は
夫の遺体から妻子を採取して冷凍保存するよう
裁判所の緊急命令をとりつけ、実行された。

ところが夫は死後の精子利用についての同意書にサインしていない。

2008年の the NSW Assisted Reproductive Technology Actでは
死後の精子の使用には本人の明示的な同意が必要とされるため
クリニックの方がその精子を使うことを拒否。

妻のJocelyn Edwardsさんが裁判所に使用の許可を求めていたケースで、
NSW 最高裁はMarkさんの精子をJocelynさんのproperty(所有物、財産)と認めた。

09年のバレンタインデーに夫のMarkさんは
「僕に何かあっても、ボクの一部はキミと一緒に生きてほしい。
赤ちゃんを産むって、約束しておくれ」と妻に語っていたという。

それが夫の同意とみなされた。

しかし、依然としてNSW州の州法は
亡き夫の精子を使って妊娠することを禁じているため、
Jocelynさんは生殖補助医療を受けるには別の週または他国にいくことに。

今回のケースでは
夫妻が子どもを産みたいと願っていたことが明らかだったので
例外的な判断だとする専門家もいるが、

一方、規制のない州では2007年に連邦政府が出したガイドライン
「明確に表明または目撃された同意」があれば書面での同意までは求めていないことが
基準になる、という専門家もいる。

Woman wins right to dead husband’s sperm
The Canberra Times, May 24, 2011


この記事だけからではなんとも言えないとは思いますが、
亡き夫の精子を妻の「財産」と判断するなら、
夫の意思とは無関係に妻が利用できることにはならないのかな……という点が、
とても素朴に疑問のまま。

夫が使ってほしいと生前語っていたから
夫から妻に贈与された「財産」ということになる……ということ?