2011年2月9日の補遺

ビル・ゲイツダボス会議CNNの医療キャスター、サンジェイ・グプタのインタビューを受け、自閉症ワクチン犯人説を流したWakefield論文に憤りをあらわにしたらしい。「あの論文は何千人もの子どもを殺した」とか言って。:とっくに科学的根拠を否定された後になって、Lancetがわざわざ削除したり、その後もまだ執拗にバッシング論文が続いたり(もちろんDiekemaも書いた)、あの論文に対する扱いの異様さの裏には、たぶんこの人がいるんだろうと思っていた。
http://www.dailytech.com/Bill+Gates+VaccineAutism+Paper+Killed+Thousands+of+Kids/article20839.htm
http://waronyou.com/topics/absolutely-appalling-disgraceful-rant-by-bill-gates-against-caring-decent-intelligent-people-who-have-the-audacity-to-question-the-effects-of-vaccines/

そのGates、発表したばかりの今年のゲイツ財団の重要課題でポリオを優先したことで、個人的にポリオ完全撲滅にこだわり過ぎて、他の病気対策に資金が回っていないと、批判されている。おなじみ倫理学者のArt Caplanって、子どもの時にポリオをやった人らしい。NYTで「撲滅は無理。せいぜいコントロールできれば」と。:もう30年近く前に留学した時、スポンサーがポリオ撲滅運動をやっている団体だったので、いろいろ耳にしたしポリオワクチンを作った博士の講演も聞いた。それを思うと、すごく不思議なんだけど、30年近くワクチンでポリオと闘ってきて、まだそういう事態なのなら、ワクチンじゃなくて貧困対策の方に支援や資金を振り向ける方が有効だということなんでは……? それでは儲かる人がいないのが問題なのかもしれないけど。
http://views.washingtonpost.com/leadership/light/2011/02/is-bill-gates-wrong-about-polio.html
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-bill-gates-polio-20110131,0,2045514.story
http://www.nytimes.com/2011/02/01/health/01polio.html?_r=1&src=me

ホーキング博士の元妻が、赤裸々に夫の介護生活を書いた本を出して、ひんしゅくを買ったり称賛されたりしているみたい。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/private-pain-of-life-with-stephen-hawking/2069277.aspx

母親が働いていると子どもの肥満率が上がる、という調査結果。:父親がフルタイムで働いていることの影響は? 父親が毎日何時間も残業することの影響は? 父親が失業して母親だけが働いていたら?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215710.php

米国で家計の助けにとアルバイトをする高校生が増えているけど、週20時間以上働くと成績にも素行にも悪影響が出ますよ~。:なんか、ほんと、いっつも思うんだけど、英語圏の学者さんたちにとって、子どもの成績が上がることと問題行動を起こさないことが子育てにおける最重要課題なのね。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215712.php

そうかと思うと、早期教育に投資すると、先行き経済的なリターンが大きいですよ~って。:これも研究者が研究の結果を示して、こう言っているわけです。子育てとか教育って、いったい何なの? 
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215705.php

ビッグ・ファーマ、そろそろ新しいヒット商品が出てこないと曲がり角なんだって。:だから、世界中でその「新しいヒット商品」にすべく、いろんなものが売り込まれている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215790.php

一人暮らしの高齢者の異常を察知するテクノロジー。:これについては既にパッケージ商品化されているものがいくつもあって、去年、ちょっと調べて書いたことがある。こちらに。結構すごい。技術そのものは大したものじゃない。すごいと思ったのは、こういう商品が広がっていく背景にある感覚の変化というか、ある種のマヒというか、そういうこと。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215789.php

乳がんで様々な問題が発生するリンパ節切除までやる必要はなかった……という研究結果が出てきたみたい。:治療のエビデンスというのは、所詮はその時々のベストでしかない、というワキマエも、姿勢として持っている必要があるんじゃないかと、重症児の親として、かつて「奇跡の療法」と言われたボイタ法の経験から私はずっと思っているんだけど。あの時、目を吊り上げて我が子を抑えつけながら「あたしがゼッタイに歩かせてみせる」と呪文を唱える母親仲間に、「リハビリテーションって、調べてみたら、まだ出来てから30年ぽっちの学問なんだよ。今やっていることが今から10年後には間違いだったって話になる可能性だってあると思うよ」と忠告してあげたもんだけど、果たして、その通りになった。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/08/AR2011020806420.html?wpisrc=nl_cuzhead

大ウツの関連遺伝子変異め~っけ。:遺伝子変異とか脳内化学物質バランスとか、なんですかねぇ……。でも、この記事、すごい人気。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215893.php

寿命は遺伝子よりも生活習慣に影響される。:まぁ、そりゃ両方でしょうし。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215895.php