Eva Kittayの成長抑制論文

ちょうど来日寸前(もしかすると既に来日中?)の
米国の哲学者で重症知的障害のある娘のいるEva Feder Kittay氏は
シアトルこども病院の成長抑制WGのメンバーの1人でした。

そのKittay氏の成長抑制に関する論文がHastings Center Reportに
WGの論文と同時掲載されています。

Discrimination against Children with Cognitive Impairments?
The Hastings Center Report 40, no.6 (2919): 32


アブストラクトは以下。

Those who have not raised a severely cognitively disabled and nonambulatory child into adulthood may feel diffident about expressing opposition to growth attenuation because they have not walked in the parent’s shoes. I have walked in them, or at least in very similar ones. My daughter Sesha is now a woman of forty. She, too, does not toilet herself, speak, turn herself in bed, or manage daily tasks of living, and she has no measurable IQ. Like Ashley, Sesha is so loving and easy to love that her impossible-to-articulate sweetness and emotional openness make it tempting to call her an “angel.” Still, we refrain. To love Sesha as she is, we must accept that, unlike an angel, she has a body that grows and ages.

重症の認知障害があり歩くことのできない子どもを成人するまで育てたことのない人は、親の立場に立ったことがないために、成長抑制に反対することについて違った感じ方をするのかもしれません。私は、その立場で育ててきました。少なくとも、非常に似た状況で子どもを育ててきました。娘のSeshaは現在40歳の大人の女性です。彼女もまた、排泄が自立していなくて話すことができず、寝返りもできず、日常生活が全介助です。IQも計測不能な範囲です。Ashleyと同様に、Seshaもたいそう愛らしく、いとおしくて、言葉で言い表せないほどのかわいらしさと、まっすぐに気持ちを表現するところなどは、つい「天使」と呼んでしまいたくなるほどです。しかし、私たちはそうしません。Seshaをありのままに愛するために、彼女には天使とは違って、成長し老いていく身体があることを受け入れなければならないのです。

このアブストラクトからすると、
成長抑制の一般化には反対のスタンスで書かれたものと思われますが、
タイトルに「認知障害児に対する差別?」と疑問符が付いているところが
ちょっと気になります。

10日の講演で成長抑制が話題になるとはあまり思えませんが
論文が発表されたばかりとあって、なにか言ってくれないかなぁ……。