WA州の尊厳死法、殺人の可能性あっても「問わず語らず」で

カナダの自殺幇助合法化議論の中で、
米国ワシントン州尊厳死法の欠陥が
地元ワシントン州の弁護士から指摘されています。

当初、住民投票が行われた際には
患者本人がいつ死ぬかの「選択」を手にすることができると約束されたが、
実際には、同法では、その「選択」は保障されていない。

なんとなれば、
医師に処方された致死薬を飲んで死ぬ場に、証人が必要とされていないからである。

利害関係のない証人がいなければ、
誰かが本人の同意なしに患者に致死薬を飲ませる機会は作れるし、

その時に患者が苦しんだかどうかなんて、
誰にも分かりはしない。

書類さえ揃って
一応そこに患者が同意したとか、いつ死んだとか記入されていれば
あとはDon’t Ask, Don’t Tell (問わず語らず)というのは
Washington州に限らずお役所仕事の常だし、

もともと尊厳死法も、死ぬ時の同意まで求めてはいない。

つまり、合法化マーケッティングのレトリックが如何に「選択」を売り込んだところで、
患者の「選択」は保障されてなどいないのだ、と。

Lawyer disagrees with Schukov
The Gazette, September 16, 2010


密室での「自殺」や「自殺幇助」の事実検証の危うさについては、
当ブログも何度か指摘していて、最近では
英国の夫による妻の自殺幇助事件に関連して
以下のエントリーでも触れています。


妻の顔にヘリウム自殺の袋をかぶせたのは夫である自分だが、
最後に袋のひもを締めたのは妻だというのは、
密室での出来事である以上、死人に口無し、
夫の証言でしかないのに、

それでも英国の公訴局長の判断は不起訴――。