包皮切除でのDiekema発言でNPRラジオに抗議殺到

8月に以下のエントリーで紹介した
Diekema医師のNPRインタビューに
リスナーからの抗議が殺到し、局のオンブズマンが乗り出す騒ぎに。


特に、包皮切除に反対している人たちは「常に感情的だ」とDiekemaが述べたことについて、
激しいリアクションが起こったという。

番組の編集者は
「Diekemaは実際には20分間のインタビューでそれなりに賛否両方の立場を
紹介してくれたのですが、4分間に編集する作業でバランスが悪くなってしまった。
確かにDiekemaははっきりと一方の意見だったのだから、
別の編集の仕方をするとか、反対意見の人を加えるべきだった」と。



しかし、以下のオンブズマンのブログ記事は
もう少し詳細にDiekema発言を点検しており、

反対する人たちは包皮切除のことをいつも「性器切断」だと称すると
Diekemaが述べたのは正確ではない、
実際に抗議してきた反対運動の公式サイトとリンクされているサイトを調べてみたが
そのどこにも「性器切断」と書いた個所はなかった、と指摘。

(ちなみにAshley事件でも、Diekemaの発言が不正確なことは多い)

また、放送された個所に
反対する人たちは、その激しさからintactivistsと呼ばれると
インタビュアーのCornishが語り、それに続いて
Diekemaと2人でくすくす笑う場面があり、

NPRが包皮切除に反対する立場の人たちをバカにしているように
リスナーには聞こえてしまった、とも。

NPRには抗議の電話とメールが届き、
サイトの記事には253のコメントが入ったとのこと。

今日、改めて覗いてみると、最後のコメントになかなか説得力があって、

「先進国の中で、米国はエイズ感染率が高い、
同時に宗教以外の理由で包皮切除を行っている先進諸国の中で唯一の国でもある、
包皮切除にエイズ感染予防効果があるなら、なぜ米国のエイズ感染率は高いのか、
多くの男児に行われているアフリカで感染率がなぜ高いのか」


Interview about Circumcision: Not the Whole Story
NPR ombudsman with Alicia Shepard
September 9, 2010


番組の編集者は、意見が対立している問題だけに
倫理学者なら両方の立場を解説してくれるだろうと考えてDiekemaに頼んだ、と
言い訳しているけど、それは、ウソ臭いと思うなぁ……。

なにしろ、このNPRの放送には以下のような動向が先行していた。


しかも、そういう中でDiekemaが
小児科学会の包皮切除検討班のメンバーとして
中立の立場のガイドラインを見直す作業に関わっていることを
まさか依頼する際に編集者が知らなかったわけでもあるまいし。

中立の立場で解説できる倫理学者なら他にいくらでもいるのだから、
たぶんNPRは最初から承知の上でDiekemaを引っ張り出している。

それでもまだ、批判を浴びた問題発言はDiekemaの責任ではなく、
あくまでも編集上の問題だと自ら責めを負おうとするなんて。


それにしても、Diekema医師はこのところ、
米小児科学会の女性器切除に関する指針でも、批判を浴びて撤回するなど、
大きなチョンボが続いておられます。

いずれも、誰ぞの意を汲んだポチ踊りに励んだばかりに――。