「次世代ワクチン・カンファ」の露骨

10月20日から22日、ウィーンで
「次世代ワクチン・カンファレンス」が開催される。

主催は Jacob Fleming という経営コンサル(? たぶん)。

GSK, Merck, Sanofi-Pasteur, Novartis, Pfizer, Abbottなど
ビッグ・ファーマの幹部たちが登壇し、

世界不況で落ち込む生命科学領域の中において一人急成長で気を吐き、
2009年には260億ドルもの収益を上げたばかりか
まだまだ儲かる見込みのワクチン業界として、

新しいワクチンを売り出して行く際の諸問題いかにクリアするか?
治験の成績を上げて認可をゲットするためにベストな取り組みは?
ワクチンの製造、発送、配送の最先端トレンドは?
一連の関係者に、また集団接種に、いかにカネを注ぎこんでいくか?

……などなどが話し合われる。

これまでの市場は子ども中心できたけど、今後のワクチン業界の成長は
大人向けワクチン、治療ワクチン、インフルエンザワクチンといった
新製品の開発へとシフトしていくと思われ、

そのためには
価値を生み出すことに繋がる一連の関係者をいかに効果的に動かし、
有望なワクチン候補をいかに遅滞なく予算の範囲で市場に売り出していくか
いかに医薬品開発や製造を受託する機関や戦略的な関連機関と相談しつつ
商機を逃さずものにしていくかが問われるのである。



「価値を生み出すことに繋がる一連の関係者」というのを
「ヴァリュー・チェーン」と呼ぶんだとか。

商品の価値が生まれていくプロセスには多くの人や機関が関わっている。
その一連の流れのところにいて、判断したり、影響力を持っていたりする人たちのこと。

この場合だと、ワクチンが利益を生んでいくプロセスに関係する人たちなわけで、

世界中の研究者、各国の中央政府地方自治体の保健行政の関係者、
WHOとかユニセフとか世界銀行とか、もちろん医療関係の各種団体とか
あと、マスコミとか、評論家とか、たぶん、
私などには想像もつかないところにも、その他、いろいろ。

そういう人たちに、いかに finance ゼニを注いで、
そういう人たちを、いかに manage 使いまわすか……だと。


このカンファで、ワクチンの安全性なんて、そもそも話題になるんだろうか……。


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もう1つ、ちょっと気になったのは、
医薬品とか医療機器の開発業務と製造業務の受託機関なるものに触れられていること。

要するに下請けのことなんだろうと思うのですが、

これって、
もう何年間も、訴訟に苦しんできたビッグファーマの
製造者責任を回避するための策……なんてことは、ないのかな……。


こちらに続編エントリー書きました。