2010年5月21日の補遺

ケンタッキー州共和党の候補者に対抗して立候補を表明したティパーティオバマ批判の保守派運動)のRand Paul氏が、1964年の市民権法について妙な発言をしている。差別をなくそうという市民権法の理念には賛成だけれど、それは公的部門でいいのではないか、民間企業には黒人を客にしたくないという自由があってもいいのではないか・・・・・・みたいなことを。:世の中のあらゆる差別がじわじわと復活しつつあって、その動きが徐々に加速しつつあるとは感じていたけど、ついに公然とこんなことを言う人が出てきた。人類が多くの過ちを犯しながらも、その反省に立ってものすごい時間をかけて営々と積み上げてきた良識と知恵とが、ものすごい速度で破壊されていく。米国社会が、この人にどう対処するのか、注目しておきたい。
http://www.nytimes.com/2010/05/21/us/politics/21paul.html?th&emc=th

米国NIHが連邦政府の研究助成金の対象条件を厳格化。製薬会社と研究者の癒着スキャンダルが相次いだため、利益の衝突を避けるため
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/20/AR2010052003038.html?wpisrc=nl_cuzhead

65年前、広島に人類初の原子爆弾を投下したエノラ・ゲイの乗組員11人のうち、ナビゲーターだったVan Kirkさん以外は亡くなって、Kirkさんが最後の生き残りとなった。そのKirkさんのGardianによるインタビュー。罪悪感で眠れなかったことは一度もない。あれで戦争が早く終わったのだから、もう一度同じことをやれといわれたら喜んでやる。石に焼け付いた人型? 別に。訓練でそういうことが起こるというのは聞いていたからね。人を殺さずにできる戦争なんかない。・・・・・・インタビューしたEd Pilkinton氏が「どこか前もって用意してあった感じの受け答え」と最後に感想を述べているのが印象的。:もちろんトルーマン大統領が言ったように、命じたのは大統領であり、乗組員に個人的な責任があるわけではないといえばそうだろう。だから、こういうインタビューの対象にされて、それを受けるということだけでも身構えざるを得ないというのは分からないでもないけど、「原爆も従来の爆弾も違いはない。違うのは影響する範囲の大きさだけ」という言葉は、強烈に記憶に残りそうだ。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/20/hiroshima-enola-gay-last-crew-member

Craig Venterバクテリアのゲノムを使って、100%人為的に組み込んだDNAによる、人類初の人造細胞を作った。この人は前から「もうじき出来る、出来る」と騒いでいた。07年にVenterが人造生命体を作ったとして流れたフライング記事はこちらのエントリーで拾っている。:また一つ、倫理的な検討を待たずに科学とテクノの先走り既成事実が作られてしまった。
http://www.guardian.co.uk/science/2010/may/20/craig-venter-synthetic-life-form
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/20/AR2010052002938.html?wpisrc=nl_cuzhead
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/20/AR2010052003336.html?wpisrc=nl_cuzhead
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/science/biology_evolution/article7132299.ece