「黒人はイヤ」と客の希望で給仕を外されたウエイターがホテル相手取り訴訟(米)

裁判の資料によると、
今年2月28日、Florida州Naplesの5つ星ホテルRitz-Carltonで
Rodney Morgan氏ら英国人一家がチェックインした際に
「有色人種」と「外国なまり」のあるスタッフのサービスは受けたくないと要望。

ホテルの副支配人の名前でコンピューター・システムに
その旨が書き込まれた。

一家がホテルのレストランで食事をした3月12日
ハイチ生まれの米国人Wadner Tranchant氏(40)が給仕しようとしたところ、
一家が黒人ウエイターはいやだと言っているとの理由で上司から止められた。

Tranchant氏は「侮辱され、恥をかかされ、恐ろしい思いをし、脅され、
不当な辱めを受けて強い精神的なストレスを受けた。
そのストレスは今も続いており、医師の治療と心理療法を受けている」として
米国市民権法違反でホテルに懲罰と賠償金を請求する訴訟を起こした。

他のスタッフも何度も同様の扱いを受けたとされ、
裁判では9人のウエイトレスが証言する予定とのこと。



これまで解消の努力が積み重ねられてきた、あらゆる差別で
一気に揺り戻しが起こっているように感じられる今の世の中の空気を
象徴するかのような事件だと考えながら読んで、

記事の内容もさることながら、もっと気がかりに思えたのは
記事に寄せられている読者のコメントの数々で、

こういう希望は「客の好みとか選択の問題に過ぎない」と主張する人
つまり「客には自分の好みとしてこういう要求をする権利がある」と考える人が複数あること。

もう1つ目に付くのは
英国社会では人種間の分離は自主的に行われていて(self-segregation)、
誰もあからさまに言わないにせよ、この一家の姿勢は英国社会の現実そのものだと
指摘する人が複数あること。

それを問題視するよりも、むしろ、それが現実というものだと
半ば肯定するようなトーンで。