ビッグ・ファーマが当て込む8つの“でっちあげ病”

1997年に消費者直結の薬のコマーシャルが登場して以来、
「薬のあるところ、病気は(そして患者も)出てくる」を信条としてきたビッグ・ファーマは、
このところ「次はワクチンが儲かりまっせぇ」と当て込んでいたものの、

米国人のワクチン不信と、
去年の暮れにはCDCの前センター長Julie Gerberding氏が
Merck社のワクチン部門の責任者に就任したことで
国際的なワクチンを巡る陰謀説への疑念ぬぐいがたく、

またもや、せっせと新たな病気を作り、患者を作り、啓発にいそしむ、
かつての戦略に逆戻りしている、というのが以下の記事の要旨。



で、その記事が挙げている「8つのでっちあげ病」とは、

1. SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレータ)不足

薬が売れるための「マジック3」とは「不安、永続、盲信」で
更年期後の骨粗鬆症予防薬には、その3つがそろっている。

効いているのやら、そもそも自分に飲む必要があるのやら分からなくても
飲んでいればとりあえず不安が消えるから。

これまで治療に使われてきたbisphosphonatesには
顎の骨が溶けたり発がん性があったり、
予防するはずの骨折を引き起こすなど
副作用が指摘されてきたので、
新たにSERM薬の売り込みが狙われている。

2. スタチン不足

FDAは去年、10歳の子どもにアストラゼネカのCrestorを認可。
今年3月にはコレステロールにも心臓にも問題のない650万人への使用も認め、
世の中を上げてスタチンを飲ませよう、という風潮。
しかも、ここでも「不安、永続、盲信」が有効。

3.Circadian Dysrhythmia(24時間リズムの乱れ)

サーカディアン・ディスリズミア……なんて書くと
恐ろしげな病気のようにも見えるけど
検索してみたら、なんのことはなく、


こちらのテキサス在住の学生さんのブログの解説が絶妙で、
要は24時間のサイクル・リズムが狂うことなんだとか。

この記事の説明では、
不眠症では、製薬会社はもう儲けられるだけ儲けたから、
不眠症マーケットには、これ以上の伸びしろはなく、そこで考えついたのが
夢遊病だとか寝汗だとか、夜勤でリズムを崩して寝つきが悪い人とか、睡眠時無呼吸とか
眠りにまつわるリズムの乱れを病気として扱うこと。

4. 成人における自閉症ADHD、扱いにくい人であること

かのBiederman医師が2004年にJAMAに書いた成人ADHDの症状は
多動や衝動性や、組織に不向きだったり、時間の管理ができなかったり、
そんな人間なら誰の結婚相手の兄弟にでもいそうなのだけれど、
それでもB医師によれば生涯、薬を飲むべき病気らしい。

B医師は2008年に議会で指弾されたが、
それでも同年の精神科ニュースには
社交性が乏しく、極端に柔軟性を欠き、癇癪を起こしやすい、
光や熱や痛みに過敏であるなどの症状があれば、
成人自閉症の可能性があり、しかし幸いなことにSSRIで症状を緩和できる……と
書かれている、とのこと。

5.2剤併用が必要なぜんそく

特に黒人ではぜんそくでの死亡率が3倍に跳ね上がるぜんそくの治療薬が
死者が(特に子どもで)沢山出たために中止になった治験データに基づいて
FDAに認可された。

しかもFDAは最後の手段として認可したにもかかわらず、
製薬会社は吸引ステロイドとセットで売りまくろうとしている。

6.薬が効かないウツ状態

抗うつ薬を飲んでも効果がない患者向けに
追加薬が認可されている。

しかし、それは「薬が効かない病気」なのではなく、
「効かない薬である」または「診断が間違っている」という方が正しいのでは?
と、この記事は疑問を投げかける。

7.男性ホルモン低下症

禿げたり、しわができたり、性欲や視力が低下したり、というのは
老化ではなく、ホルモン低下症。



ウツ病双極性障害の啓発と同じように
繊維筋痛症はほんものの病気」啓発が盛んに行われているが
全ての症状に当てはまらない人を治療の対象にすべく
製薬会社は「ウツ病スペクトラム障害」という用語を編み出してきたらしい。

さらにJAMA1月号には、「てんかんスペクトラム障害」なるものも。

        ―――――――

このエントリーを書くための日本語検索で、
たまたま引っかかってきた市場分析レポートが以下。


米国の骨粗鬆症治療市場:新しい治療薬が市場成長を刺激
Global Information, Inc. 世界の市場調査資料 総合サイト、2005年1月発刊



これらは、いずれも高価な売り物で、
この分野のマーケットのポテンシャルが如何に重視されてきたかが感じられます。

骨減少症は"作られた"病気?でも同じ問題を取り上げましたが、

例えば、最初のレポートのタイトルの
不十分な認識と患者特定不足による市場成長の阻害」を易しい日本語に翻訳すると、

骨粗鬆症は恐ろしい病気ですよという情報を周知徹底させて
骨粗鬆症や予備軍の患者をどんどん見つけないと市場が伸びない」ということでは?


それにしても、この記事の内容は、当ブログが追いかけてきた情報と、
それによって描いてきた「大きな絵」(世界で進行していること)に、ぴたりと符合します。


日本でも、最近、あちこちでワクチン、ワクチンと騒がしくなってきた。

去年、朝日のワクチン記事が胡散臭いと思ったら、
今年に入って立て続けに「日本の子どもを守るためにワクチンを」の記事を打っているし
「健康ギャップ」なくても「ワクチン・ギャップ」埋めないと「世界に恥じ」る……と説くワクチン論文
先日読んで、それは保健施策ではなく経済施策なんですね……と了解したばかり。

そういえば、この前、日本のどこかの自治体が
HPVワクチンに公費助成し学校で集団接種すると決めていたけど、
なんだか、たいそう不思議なことで、

感染力が強くて学級閉鎖にもなろうかという季節性インフルエンザも、
豚インフルエンザですら集団接種になっていないのに、

緊急性も万能性も高くないHPVのワクチンだけを、
どうして、それほど熱心に打ちたいのだろう……?

ゲイツ財団と大の仲良しでワクチン推進論者のDiekema医師ですら
「学校へ行ったらHPVに感染するというわけじゃないのだから」といって
州ごとに義務付けるワクチンの対象としては
HPVワクチンの優先順位は低いと考えているというのに。

あ、まぁ、あの発言は2008年段階の話で、
「これからはワクチンが儲かりまっせぇ」の前のことだから
今ではDiekema医師の言うことも変わっているとは思いますが。