清拭も食事もトイレ介助もなし……の英国NHSの病院ケア

Mid Staffordshire のNHSトラストのStafford Hospitalで、
管理運営側が政府の設置した目標やコスト削減を重視するあまり、
安全なケアを提供することをやめ、
「想像を絶する」苦しみを患者に与えた、
それらの劣悪なケアが患者の死を招いた、と
同病院のスキャンダルを調査したケアの質コミッションと保健省の報告書。

報告書によると、Stafford病院では、職員不足から
患者が何週間も身体を洗ってもらえていなかったり、
食べ物も飲み物も与えられなかったり、
トイレに行くことすらできなかったという。

中には汚物にまみれたシーツで寝かされている患者もいて、
家族が家に持ち帰って洗ってきたとか、

感染症を起こしたり、転倒したり、その転倒が死に至ったケースも。

多くのスタッフは最善を尽くしてはいたが、
看護師の中には勤務態度に問題がある人もいた。

これまでの同病院での死者数から考えると、
去年1年間にStafford病院で亡くなった患者数は400から1200人も増えている。

現在、複数の医師と少なくとも看護師1人に事情聴取が行われている。

経営陣が刷新され、
報告書でも18の勧告が行われて、
新しい経営体制で病院は出なおすことに。

しかし、報告書で同時に問題視されているのは、
ある病院で問題のなる運営を行った幹部が、
辞職に追いやられても、そのまま別のトラストに職を得てしまう
英国医療制度の構造上的な問題。

しかも、彼らは、そのたびに巨額の報酬や退職金を得ている。

(前からNHSは官僚主義的になりすぎているという批判を聞くのですが、
こういう「わたり」みたいなところも含めてのことなのでしょうか)

NHSの病院を監督し、
早期に問題を発見して警告を発する仕組みの必要も指摘された。

この病院で母親が悲惨な死に方をしたという女性が
Cure the NHSという運動団体を立ち上げている。

その名も、「NHSの病気を治そう」――。



病院での通常の医療がこういう状態で、
終末期医療では機会的に重鎮静にされて脱水死に持っていかれるのだとしたら、

そりゃぁ、病院に行かなければならない事態になる前に
死んだ方がマシだと考えるのも無理はないのかもしれないけど、

でも、だから、みんなで自分の好きな時に
好きな方法で死にましょう、という話になるというのも……。