教育委員会が生徒にパソコンを配り、カメラでこっそり遠隔監視?

うへぇ。なに、これ? 
監視社会もここまで来ているの? ……というニュース。

Philadelphia郊外の富裕な地域のスクール・ディストリクトが
州の助成金を使い、「21世紀型のモバイルな学習環境を」といって、
2300人の高校生にノートパソコンを配った。

生徒たちは知らなかったのだけど、そのノートパソコンには
スクール・ディストリクトが好きな時にリモートコントロールでスイッチを入れたり
写真を撮ったりできる webcamカメラが内蔵されていた。

ある日、生徒の一人が副校長室に呼ばれて、
そのカメラで撮った写真を見せられて、
「ほら、あなた、家でこんな悪いこと、してるでしょ」と叱られたことから発覚。

生徒たちは親のサポートを受け、集団訴訟を起こした。
生徒と家族のプライバシーと市民権の侵害。通信法違反でも。

生徒だけではなく、家族や訪問客らも、そのノートパソコンは使っているので、
各家庭の家族や友人、知人の裸など、あられもない姿まで捉えられていたことに。

スクール・ディストリクト側はHPで
盗難や紛失時に起動するためにカメラを搭載しただけで、
それ以外の目的には使われたことはない、と。

(スクールディストリクトは日本の教育委員会に当たると思われますが、
一定の資金の手当てをはじめ、学校運営に対しての諸々の責任や決定権が
日本の教委よりも大きいんじゃないでしょうか。数年前に、ある州の小さな町で
障害児の個別ケアについてスクールディストリクトの責任者のお話を伺ったことがあり、
その時のお話の内容からの印象ですが。)



いや、でも、実際に、それで
“証拠”を突き付けられて叱られた生徒がいるわけだから……。

ちょっと見た目には、リアリティのない荒唐無稽な話のように思えて
思わず笑ってしまいそうな話なのですが、

2300台ものノートパソコンのすべてにWebcamを搭載する費用を考えたら、
ただ盗難や紛失時のためだけに、それほどの、お金を投じるものかなぁ……。
それだけなら、もっと簡単な発信機程度のもので、安上がりに済ませるだろうと思うんだけど。

これ、まぎれもなく現実に起こっていることなんだと思うと、なんとも……。


踊る大捜査線」だったっけ、
あの映画シリーズが始まった頃(今調べてみたら1998年だった)って、
こんなに町に監視カメラが増えているなんて……というシーンに
まだ、みんな衝撃を受け、不気味さを覚えていたはずだったのに、

どこかで事件が起こるたびに
「きっとどこかのカメラに犯人の姿が……」と誰もが、すぐに考えるほど、
いつのまにか町の至る所がどこかのカメラで捉えられていることに
誰も違和感を覚えなくなってしまった……

……ということを、あの映画の話題が出るたびに、思う。