「遺伝子に特許やるな」という米国の訴訟

米国政府が乳がんと子宮がんと関係しているとされる遺伝子BRCA1とBRCA2の特許権
Myriad Genetics 社に認めたことについて、

米国遺伝学会、分子病理学協会など20の原告を代理する
American Civil Liberties Union(ACLU)が違法だとして訴えた訴訟で
審問が行われた。

訴訟の争点は、企業には「自然の産物」と「自然の法則」に対して
特許を持つ権利があるかどうか。

双方とも、
研究者が特許を持てるのは
新薬、新治療、新装置、またDNA配列を掴む個別の方法についてであり、
自然現象や自然の法則など自然において起こることに特許は持てない点では一致しているが、

被告側はBRCA遺伝子をそのほかDNAから分離した(isolrate)ことによって
BRCAは特許の対象となった、と主張しているのに対して、

原告側は
「遺伝子は発明されるのではなく、同定されるもの」として
他から分離する過程がどのように精密なものであれ、
DNAそのものの構造を変えるものではなく
BRCAは本質的には「自然の産物」のままである、と反論。

このほかにもアインシュタインの e=mc2 やら
合衆国憲法の修正第1条やらも関係している議論のようなのですが、
このあたり、私にはついていけないので、パスして、

判決は数ヵ月後に予定されており、

もしもACLU側が勝訴ということになれば、
日々、遺伝子に特許を取る競争が激化している研究業界に
大きな変革が起こることになるだろう、と。



私は、遺伝子に特許というのは、
ずうううううぅっと前のチャクラバティ裁判とか、そういう時代に
もう米国の裁判所が勝手に認めてしまったことだとばかり思い込んで、


まだ、こうして訴訟を起こして問題提起しようという人たちもいるんだと知ると、
ちょっと希望とか勇気という言葉を思い出す感じ。


【3月30日追記】
地方裁判所の判事は、遺伝子への特許を認めない判決をくだしました。
http://www.nytimes.com/2010/03/30/business/30gene.html?th&emc=th