「癌は遺伝子で決まる」なんて“神話”……と専門家

ちょっと常識的な人なら、
こんなこと、なにも専門家がデータを出してくれずとも
分かっていたこと……とは思うのだけれど、

癌になるかどうかは遺伝子だけで決まるわけではなく、
がん患者の中で親から受け継いだ病気の遺伝子のために癌にかかったという人は5%~10%。

きちんとした食生活を維持し、体を動かし、体重を管理すれば
乳がんや大腸がんも含めて、たいていのよくある癌なら、39%は予防できる。

発病に関係していると特定された遺伝子を受け継いでいると分かっても、
それは、そうでない人に比べて発病の確率が高いというだけのことであり、
かならず発病するとは限らないのだ、と。

The World Cancer Research Fund (WCRF) のDr. Rachel Thompson が。

全体に、パーセンテージをどうやって出したのか、
その根拠がこの記事には示されていないのが引っかかるけど、
主張されていること自体、もともと「そりゃそうだよね」ということではある……。

Cancer just down to genes ‘a myth’
Yahoo! UK & Ireland, News, April 20, 2009



それから、この人は触れていないけど、
やっぱり、ストレスがよくない……と世に言われている常識だって
たぶん捨てたもんじゃないはず、とも思う。

この前、柳原和子さんの「百万回の永訣」を読んだ時に
多くのがん患者さんの共通の体験として、
がんを発病したり、再発する直前に、それぞれ
身体的にも精神的にもストレスの大きな数年間を過ごしていた、
という話が何度か出てきて、「ああ、やっぱりなぁ」と、しっくり腑に落ちた。

(念のために余計なことを書いておくと、
「がん患者学」の時から、私は、ごく部分的にしか共感できなかったけど
特に再発後のこの人の言動については批判的にしか受け止めることができません。)


ちょっと話は違うけど、
娘が小さい時に、他のお母さんたちと話をしていたら、
「夜寝ない」「ちょっとのことですぐ起きる」「異様な激しい夜鳴きをする」ことに
親がほとほと困り果ていた……という体験が
その後てんかんの診断を受けた子どもたちに“予兆”として共通していた。

ずっと前から医師に訴えていたのに相手にしてもらえなかった、というのも
これまた誰もが共通に体験していた。

患者の体験だって、ちゃんと調査研究してみれば科学的なデータとなって、
病気について分かることって案外に沢山あるんじゃないのかなぁ……と思うのだけど

その分野の専門家以外にはチンプンカンプンな最先端の知見でなければ
信じるに足りる科学的エビデンスではない……みたいな“神話”もあるようで、

これまでだって、そっちを向いていなかった科学のまなざしは
病んでいる人や障害のある人自身の体験から、さらにどんどん遠ざかり、
さらに人間が本来持っている知恵や賢さや本能的な知覚からも、どんどん離れていく。

そして、一番怖いのはきっと、
私たち世の中の一般人までがそれに引きずられて
ずっと前から誰もが常識的に知っていたこと持っていたものをかなぐり捨てて、
知識の断片や欲望に振り回されない賢さを失っていくこと。

この論文は、最先端科学に振り回される
そうした世の中への警告のように読めた。