W.Smith「“死ぬ権利”は“死ぬ義務”になる」

このところの英国での自殺幇助合法化に向けた動きと
そのさなかでのDebbie Purdyさんへのメディアの注目を受けて、

Wesley Smithが英国のTelegraph紙に寄稿しています。

自殺幇助合法化運動の推進者らから合法的自殺幇助のモデルとされている
Oregon州の実態について、

高価な抗がん剤治療の支払いは拒むが幇助自殺の費用なら出してやる
政府からの通知を受けた癌患者が去年2人出たこと。

実際には終末期どころか、たいした病気の症状すらない人に致死薬が処方されており、
合法化のウリ文句の「苦痛の軽減」にはなっていないこと、

法律的にはウツ状態の人に致死薬の処方は認められないことになっているが
去年Oregon州で医師の幇助を受けて自殺した人の中で
アセスメントを受けるべく精神科へ紹介を受けた人はゼロだったこと、

こうしたウツ状態の患者は精神科でケアすべきだし、
自分が家族の負担になっているとの末期患者の罪悪感も
本来ホスピスで適切にケアされるべきでありながら、
精神科の介入なしに医師が致死薬を処方することを州が認めてしまったら

ホスピスケアそのものが廃れて
結局は高齢者、病者に死ねと圧力がかかる「滑り坂」になる。

で、Smith氏の結論は

合法的自殺幇助のモデルとの看板の陰で、Oregonで明らかになったのは
合法化が切り捨て、医療の荒廃、患者の命の軽視に繋がるということだ。

‘Right to die’ can become a ‘duty to die’
By Wesley Smith,
The Telegraph, February 20, 2009