EUがヤセ薬を解禁、「誰の最善の利益?」

ヤセ薬に関連して、これまで
NHS新たにヤセ薬を解禁(2008/7/9)
6月解禁のヤセ薬、精神障害起こすと早くも販売中止(英)(2008/10/25)
のエントリーで取り上げてきたのは rimonabantという薬で、

こちらは orlistat (商品名 Alli)という別の薬の話なのですが、
先週EUが薬局での販売を認めたことを受けて
Lancetに出ている以下の論文が「誰の最善の利益?」と。

無料で読める最初の数行によると、
BMIが28以上の人を対象に薬局で買えることになったとのこと。

ただし薬局で買えるのは医師が処方する処方量の半分。
米国とオーストラリアでは既に解禁されているのだとか。

Over-the-counter medicines: in whose best interest?
The Lancet, Volume 373, Issue 9661, Page 354, 31, January 2009


でも、BMI28って、薬でやせなければならないほどの肥満????

日本でも最近テレビを見ていると
やたらと目に付くのがパチンコと薬のコマーシャル。

女性のバスツアーのバスに白衣の医師が乗り込んできて
「オシッコが近くなるのは年を取ったから仕方がない」という女性に
「いや、そうとばかりは言えないかも。一度医師に相談した方が……」みたいなことを言い
まるで治療しなければならない病気であるかのように
中高年女性の不安を煽るコマーシャルもあるし、

具体的に何に効くという薬のコマーシャルではないし、
患者には馴染みがないばかりか患者が直接選ぶわけでもなかろうに
製薬会社だの医療機器会社のコマーシャルもやたらと目に付く。
(このコマーシャルにかかる莫大なお金は治療費に跳ね返るのだから
患者としては止めてほしいと思うのだけど)

日本ではまだヤセ薬は解禁になっていないかもしれないけど
薬局をちょっと覗いただけでも、
メタボ対策がいかに大きなビジネスになっているか一目瞭然だし。

日本の社会も着実に英米の後を追いかけている──。

「誰のための最善の利益?」という問いは
常に頭の中に置いておいた方がいいかもしれない。