Biederman医師に更なる製薬会社との癒着スキャンダル

この話題ばかりを追いかけるつもりはないし、そろそろ食傷気味でもあって、
今朝、拾ってしまった時には、そのまま流そうと思っていたのですが、
その後もあちこちで目に付くので、それなりに大きなニュースらしく、
とりあえず、簡単に。


このところ相次いでいる米国の児童精神科医と製薬会社の癒着スキャンダルで
Harvardの著名児童精神科医Biederman医師の新たなスキャンダルが明らかに。

子どもに処方された抗精神病薬の副作用を巡る訴訟の資料から。

同医師がMassachusetts General Hospitalの研究センターの創設を
Risperdalの製造元であるJohnson&Johnson社に持ちかけ、
2002年だけでも70万ドルを出資させた。

センターは、その名も Johnson & Johnsonセンター
その長はBiederman医師。

病院側もJ&J社側も否定しているものの
裁判の資料として提出されたJ&J社内部のEメールの内容からは
センター設立の目的は同社の製品のプロモーションだとの認識が
Beiderman医師にも同社にもあったことが伺われるほか、

同2002年にはJ&J社がRisperdal臨床実験の結果を偽った論文の下書きを作成し、
それをBiederman医師が承認したことを示すEメールも。

(製薬会社がゴーストライターを雇って論文を準備し、
 その著者になる医師をさらに雇って署名させるという慣行が
このケースに限らずあったとか。)

また今回明らかになったJ&J 社内のメールのやり取りでは

Connecticut大学での講演の謝金として
Biederman医師に3000ドルを出してくれと社員が上司に書いた手紙では
「粗略に扱ってはいけない医者なんですよ。
全国レベルの大物で、プライドが高くて短気なんだから」

Biederman医師が要求した28万ドルの研究費を同社が断った際には、
「あんなに怒った人間を見たことはないほど怒っている。
あれ以来、Biederman医師の息のかかったところでは我が社の商売は上がったりだ。
 さっさと小切手を切らないと、大変なことになる」

Research Center Tied to Drug Company
The NY Times, November 24, 2008


【追記】
この話題については、その後NYTimesは 
29日の社説で「専門家それとも、ただのサクラ?」と取り上げています。

Expert or Shill?
the NY Times, November 29, 2008