遺伝子診断でA事件と矛盾するDiekema発言

以前にお知らせしたように、
今年の第4回シアトル子ども病院生命倫理カンファレンスは
小児における遺伝子診断をテーマに7月25,26日の開催。

今頃かの地ではカンファまっただ中というところでしょう。
(上記リンクにリアルタイムのWebcastがあります。)

そのカンファを取材するthe Seattle Post-Intelligencer紙の記者が
前日24日の同紙のサイト・ブログで読者のご意見を募集しています。

その中に引用されているDiekema医師のコメントが
倫理学者としては基本的に慎重な彼らしいのですが、
Ashley事件で言っていたことと、全然、辻褄が合っていません。

Core piece of advice is you shouldn’t do genetic testing just because it’s available. Parents need to think about how useful a test would be. If there’s a test (that) came positive, what would be the benefit for my child? Is there something we could do?

主に忠告したいのは、ただ遺伝子診断ができるからというだけでやるべきではないということです。診断がどれだけ役に立つものかということを親はしっかり考えなければ。もしも病気の可能性があると出た場合に子どもにとって何が利益になるのか? その場合に自分たちに何か打てる手があるのか? そういうことを考えなければ。

Do you want to know every disease your kid might get?
By Paul Nyhan
Blog: Working Dad: An Unauthorized Guide to Parenting,
The Seattle Post-Intelligencer, July 24, 2008


家系に胸の病気が多いから、その予防だといって
特に遺伝子診断もせずにAshleyの乳房切除は本人の利益だと主張した人なのだから、

同じリーズニングを適用するならば、

遺伝子診断で病気の可能性がプラスと出た以上
「打てる手」としてはその臓器の摘出をすればいいし、
それが本人の利益であり、倫理的な方策である……という話になるはずでは?

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それにしても、いつからなのか判然としないのですが、
最近Diekema医師がメディアに登場すると
ワシントン大学医学部小児科生命倫理部門の教授」と肩書きが変わっています。

以前は「シアトル子ども病院 Trueman Katz 小児生命倫理センターの教育ディレクター」でした。

(記事を遡って逐一調べてみれば肩書きが変わった境目がいつだったか分かると思いますが、
 まだそこまで出来ていません。)

ご出世のようですね。Ashley事件でのご奮闘が認められたのでしょう。

【追記】
シアトル子ども病院生命倫理カンファレンスでの肩書きを調べてみたところ、
2006年の7月のカンファではワシントン大学小児科の助教授。
翌年2007年の7月のカンファでは教授になっていました。