介護者差別巡るEU裁判で介護者に画期的勝利

今年1月に
介護者差別を巡るColeman裁判のエントリーで紹介したケースに
ヨーロッパ法廷の判決が出ました。

障害のある息子がいる女性が職場でフレックスで働きたいと申し出たのに認められなかった、
障害のない子どもの親には認められているのに
子どもに障害があるために「怠けている」などと責められた、差別だとして
まずは英国の雇用裁判所に訴え、
雇用裁判所がヨーロッパ法廷に持ち込んでいたもの。

それは職場での平等な扱いを定めたEUのディレクティブに反するかどうか、
また discrimination by association が認められるかどうかが焦点となっていました。

このたびヨーロッパ裁判所が出した判断で
全面的にこの女性Colemanさんの勝訴。

この裁判は英国の介護者全体の権利に関るものと注目されていたため、
以下のTimes の記事は冒頭で
英国の600万介護者は本日、画期的な勝利を勝ち取った」と。


判断の具体的な文言としては

Where an employer treats an employee who is not himself disabled less favourably than another employee in a comparable situation, and it is established that the less favourable treatment of that employee is based on the disability of his child, whose care is provided primarily by that employee, such treatment is contrary to the prohibition fo direct discrimination laid down by the Directive.

従業員本人に障害がなくても、
その人がケアしている子どもに障害があって、
その障害が理由となって他の従業員よりも扱いが悪くなったならば、
それはEUのディレクティブに反する差別である……と。

しかも「そんなことしていない」という立証責任があるのも雇用主の方。


企業サイドからは、こんな訴訟がどっと増えるんじゃないか
現実にどう対処すればいいのかなど不安の声も。

英国はこの判断を受けて
1995年制定の障害差別法がこの判断に添える内容になっているかどうかを検討し
そうなっていなければ改定を迫られることになります。