著名小児精神科医にスキャンダル

子どもの双極性障害の診断件数が1994年からの10年間で40倍に跳ね上がる現象を起こすなど、
子どもに精神疾患を診断し、まだ認可されていない抗精神病薬を飲ませるという風潮を
作ってきたのはハーバード大学の一連の研究。

それらの研究を主導した著名な児童精神科医
Dr. Joseph Biederman、Dr. Timothy E. Wilens、Dr.Thomas Spencerが
製薬会社から多額の顧問料を受け取っていながら申告していなかったことが判明。

研究における利益相反を避けるための NIH その他の規定違反であると
Iowa選出の共和党上院議員が指摘。


科学研究における利益の相反を避けるため
政府からの助成金を受ける研究に従事する研究者らは
製薬会社などからの金銭の授受について大学に申告することになっていて、
(一定額以上を受け取っている研究者は、その会社の製品の研究に関与してはならないとの規定のため)

申告された金額の真偽が確かめられることはなく、
申告制度そのものが形骸化しているという別の問題もあるにはあるのだけど、

この3人はそもそも申告していなかっただけでなく、

その金額とヤリクチというのが共にハンパではなくて、
例えばBiederman医師は「2001年にJohnson&Johnsonからの収入はない」と申告。
もう一度確認を求められると「そういえば3,500ドルもらっていた」。

ところがJohnson&Johnsonの方では
2001年には同医師に「58,169ドル支払った」と。

58,000ドルといえば優に普通のサラリーマンの年収ですね。
これ、一社からの収入。

2000年のEli Lilly社からの収入は
同医師の申告によると10000ドル以下となっているものの
Eli Lilly 社のほうでは「14000ドル以上支払った」と。
(申告義務が生じるのは10000ドル以上。)

こんなに不透明なお金が動いていたのでは
小児精神科医が子どもたちを食い物にしたと言われても
仕方ないんじゃないでしょうか。


【追記】
afcpさんのところから寄ってくださる方もあるようなので、
11日夜、細部を多少手直ししました。

とはいえ、もともと長文の記事をかいつまんだものですから
なるべく原文を当たってくださいますよう。


【追追記】
以下の記事によると、
Harvardの規定では、ある会社から受け取る金額が年間2万ドルを超えた場合は、
その会社の製品の研究を行ってはならない、とされていますが、
ただし2004年以前は金額の上限が1万ドルだったとのこと。