「新しい農業」は遺伝子組み換えで?

数日前だったかNHKのニュース。

食料価格高騰と食糧不足に解決策を模索する世界食糧サミットで、
各国それぞれの思惑が錯綜して解決に足並みが揃わない状況を悲観的に伝えた際に、

しかし今回の会議唯一の希望と思われた点として
「今回の食糧不足を新しい農業のあり方を考える契機に」と訴える科学者たちの声があった、

彼らはたとえば石油を使わない農業や、
異常気象に強い作物の開発を提唱している、と。

こういう表現を使われると、
つい「ほぉ~」とうなずいてしまいそうですが、
「異常気象に強い作物の開発」って具体的には遺伝子組み換えやクローン技術のことでしょう。

それって、
「抗ウツ剤を飲ませたら子どもがやたら自殺するようになったから飲ませるのをやめよう」ではなくて、
「このまま飲ませ続けつつ、さらに抗うつ剤の副作用を抑える薬物を開発して飲ませよう」と
いうのに等しいのでは?

それでは子どもたちの心身の健康が決して改善しないのと同じく、
遺伝子汚染が進めば地球環境はさらに破壊されて
結局は異常気象も加速するんじゃないのかなぁ。

            ―――――

それで思い出したのですが、
5月28日のNew York Times
ハーバード大の経済学と哲学の教授でノーベル賞受賞者でもあるAmartya Senが
The Rich Get Hungrier(金持ちが貪欲になっていく)というタイトルの論考を寄せていました。

現在の食糧不足の表層的な現象そのものは一過性のものであるにせよ、
その根底にはあるのは世界的な格差の広がり。
富裕層の肥大する欲望のために貧困層が飢えている。

食糧問題を解決するためには、
まず、問題の本質を認識しなければならない、と。


食糧が不足しているなら
最先端テクノロジーで農業そのものを変革しようとの提案は
実は先端テクノロジーで巨大利権を創出しては、それに群がる人たちのハングリーな声なのでは──?