iPS細胞できてもヒトクローン胚は作るって?

前のエントリーで紹介した最相葉月さん主催の生命倫理問題サイトLNET
04年の文科省総合科学技術会議を取材していた最相さんが
ヒト胚の研究利用に反対の立場を明確にしたことから
中立の立場でサイトの運営はできなくなったとして
その後、更新されていません。

別の形でリニューアルを検討中と著書には書いてありましたが、
その後、京大の山中教授チームによるiPS万能細胞作成の成功を受けて
「ヒトクローン胚の医療応用という夢が幻想となった」とし、
11月22日にLNETで以下のように書いています。

クローン胚の医療応用という夢が幻想となったこの10年とは、科学は決して社会的な理解を無視しては発展しえないということを誰もが強く認識するに必要な時間だったのでしょうか。「受精卵は人か否か」という言葉でクローン技術の人間への応用に至る経緯をウォッチングしてきたLNETですが、今後その必要はなくなりました。リニューアルを予告しておりましたが、本日、更新終了を決定いたします。

私も京大とウィスコンシン大のブレイク・スルーで
研究利用の目的でヒト胚を作って廃棄することの倫理問題の議論には終止符が打たれたのだと
これまで考えていたのですが、

(去年の秋、ブッシュ大統領カトリック教会もそう言って
山中教授チームの快挙を歓迎したのではなかったっけ?)

どうにも、わからない……。

5月21日の朝日新聞に「ヒトクローン胚作り 年内にも解禁へ」という
小さなニュースが掲載されていて、
わが国で、難病研究の目的に限ってヒトクローン胚の作成が認められるという話。

「04年に総合科学技術会議が限定的に容認する方針を決定し」て
その後文科相が関係者らの話を聞きながら「検討してきた」のだそうで、
この文脈には去年のiPS万能細胞の快挙なんて存在しないかのようで……。

体細胞からでも作れるなら倫理問題は解消したといいつつ、
やっぱりヒトクローン胚から作るんですか──?

じゃぁ、倫理問題、ぜんぜん解消していないこと、ない──?