「議論はまず専門家で」?

「いのち 生命科学に言葉はあるか」を読んだ時に覗いてみた
最相葉月さん主催の生命倫理サイトが大変面白かった。


(ただし更新はすでに終了)

ただ、
このサイトに情報提供で協力してきた専門家サポーターの座談会において、
日本での着床前遺伝子診断について
一般国民を巻き込んだ議論をするべきかどうかという点で、
日本国民の知識も判断力もまだ充分ではないから
医療者としては、そっとしておいて欲しい
専門家の間でまずは議論すべき
などと発言される方が複数あったのが
ちょっと気持ちに引っかかったままになっている。

確かに最相さんの「いのち」を読んでも、このサイトを読んでも、
自分の知識不足や意識の低さを痛感して恥じ入るばかりだし、
私もAshley事件では“世論”の危うさを感じてはいるから、

もちろん専門家同士がどんどん議論してくれることは大切なのだけれど、

その反面、ある意味で専門家の“狭さ”にも
専門家って実はモノを知らないよね……と言いたいような危うさがあるという気がする。

それに「専門家に任せておけ」、「そっとしておいてくれ」というのは、
やっぱり、その専門家意識のあり方そのものに
何か非常に危険なものが潜んでいるような……。

専門家は、どんなに鈍くても世論に訴えかけていく努力を続けるべきだと思うし、
特に国家や権力や利権を握っている人たちの利益になる情報が、
彼ら強い者の利益になる形でのみ流されがちで
都合の悪い情報は隠されたり、ゆがめられて伝えられているようにも感じられる現在、
そのように表に出てきにくい情報を掴んでいる専門家こそ
それを世論に投げかけてもらいたいと思うし。

最相さんのサイトの意図も
生命倫理に関する正しい情報を広く一般に知らせて
議論を喚起することにあったと思うので、

何らかの形でこのサイトが再開されるといいなぁ……と。