Lasik反作用でFDAが調査へ

レーザーで角膜に手を加えて近視、遠視、乱視を回復させる、
タイガー・ウッズもやっているというLasik(レーシック)手術で
ものが二重に見える、ぼやけて見える、ひどいドライ・アイになった……などの反作用が起こっており、

FDAが患者へのリスクの周知徹底を求めると同時に
反作用の程度を把握すべく調査に乗り出すようです。

アメリカで90年代半ばに認可されるや大人気の手術となり、
今までに70万人が受けているとか。

FDA Plans to Examine Scope of Complaints About Lasik
Washington Post, April 25, 2008/04/25


レーシックについてはあちこちの眼科でポスターやパンフを見たことがあるので、
こんな田舎でも身近な医療になっている以上、
それは安全が保障された技術なのだとばかり思いこんでいました。

で、上の記事を読んで、日本語で検索してみたら、
すごい。こんなに人気だとは知らなかった……。
インターネット上でも患者のぶん捕り合戦のにぎやかなこと。

タイガー・ウッズは実は最初の手術のあとで視野が乱れて頭痛がしたため、
再手術をした……という話もあるのですが、
それには触れてないサイトが多いし。

よくよく読めば、どこのサイトもさりげなく「失敗」に言及していたり、
「○年間保障」という文言が結構目に付くのも
「失敗」の確率がそれだけ高いからのようでもあり……。

珍しく、利点だけでなくて
欠点も詳細に書いてある日本語サイトがあったので、こちらに。

こんなに沢山のリスクがある技術が、
こんなに良い面ばかりを謳われて流行していて、本当にいいんだろうか……。

確かに科学の進歩は人間の未来に沢山の夢をもたらしてくれるし、
トランスヒューマニストたちが「こんなことも、あんなことも出来る時代が近いぞ!」と
せっせと盛り上げてみせる、いいことだらけの「夢のテクノロジー」は
安全・お手軽に人間の様々な能力の低下や喪失を補うばかりか
これまで考えられなかったレベルに能力を高めてくれるかのようにも見えますが、

そういうユートピア話に煽られて未来型「夢のテクノロジー」に憧れるあまり、
消費者の方が「早く、もっと早く実現を」と焦れて、その結果、
実際には安全性が確認されていない技術や薬が見切り発車されることに繋がっているのでは?

そして、多くの人に取り返しのつかない反作用が起きてしまった後になって、

(儲けるべき人が儲けるだけ儲けてから? 
技術開発に掛けた費用が回収できた頃になってから?)

やっとおもむろに安全性を確認し始める……というのでは
本来あるべき手順が逆転している。

「ある」と証明されていないというだけで
「あるかもしれない」リスクが、あまりに安易に
「ないかもしれない」や「たぶん、ない」に摩り替えられている。

それは、ただ消費者が求めているからではないでしょう。
むしろ見切り発車される技術や薬の方がニーズを創り出しているのだから。