世界の保健医療に「黄金律」作るとIHME

ワシントン大学の(というかゲイツ財団の?)新しい研究所IHMEについては
前のエントリーで紹介したSeattle Post-Intelligencerの他に
Seattle Timesも報道していますが、

こちらはタイトルからして、
その無神経さが非常に象徴的で

シアトルの研究所、世界の医療データ障害の治療を支援」。

Seattle institute aims to help cure world-health data disorder
By Sandi Doughton,
The Seattle Times, April 9, 2008


Ashley事件のリサーチを通じて、
Seattle Timesは極めてゲイツ財団・マイクロソフトに近く、
ほとんど御用新聞に堕しているのではないか……という印象を私は持っていますが、

この記事でも、
ゲイツ氏の慈善資本主義に対する批判については
WHOという官僚機構の中には
アメリカの大金持ちが自分たちの縄張りを荒らすとムカついている向きもあるが
世界で最も金持ちの慈善事業家を公に批判する勇気のあるものは少ない」と。

記事の大半を占めているのは
WHOやUNICEFなどの国連機関の各種プログラムについて
公表されるデータが如何にずさんなものであるかという指摘と、
IHME所長Christpher Murrayが提唱する方法論でデータを見直すことによって、
如何に現実を反映したデータが得られて、
如何に保健医療プログラムの効率的な運用に役立つか、という話。

なお、記事のデータ欄によると
IHMEの職員数は現在45名ですが、
2010年までに130人に膨れ上がる予定とのこと。

この欄の「ゴール」に書いてあるのは

発展途上国と先進国の双方において、
保健医療の厳密な科学的評価に「ゴールド・スタンダード」を設定すること。

可能な限り最善の保健医療データを提供することによって
世界中の人々の健康を改善すること。

いくら公立大学の組織だとはいっても
ゲイツ財団が支援しているプログラムの効率計算の依頼がIIHMEに対して出ていたり、
いわば1人のスーパー・リッチが私物化しているような組織が
全世界の保健医療の「黄金律」をって……

それはちょっと独善が過ぎやしませんか?