“救済者兄弟”
ヒト受精・胚法(Human Fertilisation and Embryology Bill)の上院での審議の様子の一端を読んで、
その中に出てきたSavior sibling という言葉に度肝を抜かれたので、
検索してみたら、
その中に出てきたSavior sibling という言葉に度肝を抜かれたので、
検索してみたら、
以下の記事にあるように
病気の子どもを救うための臓器目的で兄弟をつくることが
英国では2004年に世界に先駆けて公式に認められていました。
(上記記事ではアメリカは無規制、
英国に問い合わせがあった国はカナダ、台湾、日本とのこと。)
病気の子どもを救うための臓器目的で兄弟をつくることが
英国では2004年に世界に先駆けて公式に認められていました。
(上記記事ではアメリカは無規制、
英国に問い合わせがあった国はカナダ、台湾、日本とのこと。)
「“savior sibling”に青信号」
“Savior sibling” babies get green light
NewScientist.com news service, July 22, 2004
“Savior sibling” babies get green light
NewScientist.com news service, July 22, 2004
ただし法律を作って認めたということではなくて、
1990年のヒト受精・胚法によって翌91年にできた
ヒト受精・胚機構(Human Fertilisation and Embryology Authority)がOKした、と。
1990年のヒト受精・胚法によって翌91年にできた
ヒト受精・胚機構(Human Fertilisation and Embryology Authority)がOKした、と。
HFEAは保健省の下に置かれていますが、独立性が保障され、
生殖医療と胚の扱いについて許認可、実施規範(の策定?)、査察を行うとされています。
生殖医療と胚の扱いについて許認可、実施規範(の策定?)、査察を行うとされています。
上記記事の中にも、
これはHFEAが決めることではなく議会で議論すべきことだとの批判の声が出ているので、
現在審議中の法案でいよいよ法的にも認めようということなのでしょうか。
これはHFEAが決めることではなく議会で議論すべきことだとの批判の声が出ているので、
現在審議中の法案でいよいよ法的にも認めようということなのでしょうか。
それにしても、これ、どう訳せばいいのでしょうか。
Savior というのは、このクリスマス時期にはよく目にする耳にする言葉ですが、
やはり一番身近なイメージはイエス・キリストを称える“救世主”でしょう。
Savior というのは、このクリスマス時期にはよく目にする耳にする言葉ですが、
やはり一番身近なイメージはイエス・キリストを称える“救世主”でしょう。
でも、ここではまさか“救世主兄弟”でもあるまいし、
救い主兄弟──?
救済者兄弟──?
なんか、ヘンだなぁ。
きれいにまとめれば“救いの兄弟”とでも?
救い主兄弟──?
救済者兄弟──?
なんか、ヘンだなぁ。
きれいにまとめれば“救いの兄弟”とでも?
上記の記事によると、
HFEAが認めた背景には、
「家族全体の幸福に寄与する」との理屈があるようなので、
家族にとって“救世主”、“救い主”、“救いの神”になるという意味でしょうが
なんとも、あざといネーミング。
HFEAが認めた背景には、
「家族全体の幸福に寄与する」との理屈があるようなので、
家族にとって“救世主”、“救い主”、“救いの神”になるという意味でしょうが
なんとも、あざといネーミング。
とりあえず、あざといニュアンスを残して「救い主兄弟」としておくとして、
(その後、「救済者兄弟」と変更しました。)
プラスの価値判断を名前に付加することで
子どもを道具に貶める親や医療者のエゴを覆い隠し、
批判封じをしようという意図が感じられないでしょうか。
子どもを道具に貶める親や医療者のエゴを覆い隠し、
批判封じをしようという意図が感じられないでしょうか。
権力というのは、どうしてこんなにも
詭弁の詐術に長けているものなのか。
詭弁の詐術に長けているものなのか。
日本でも障害者自立支援法案で「受益者負担」が
「障害者は益を受けているわけじゃない」と批判されると、
批判されたのは名称ではなく、その背景にある無理解であるにもかかわらず
中身は全く変えずに呼び方だけが「定率負担」に変わり、
「障害者は益を受けているわけじゃない」と批判されると、
批判されたのは名称ではなく、その背景にある無理解であるにもかかわらず
中身は全く変えずに呼び方だけが「定率負担」に変わり、
追加情報はこちら。
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プレゼンの中でPentz医師が引用した小説についてのエントリーは以下に。
姉のKateを救うために両親は出生前診断まで行って、
わざわざもう一人子どもを産むほどの努力を払ったのだから、
Kateが両親にとって「かけがえのない子ども」だったことは自明なのですが、
では、姉の臓器のスペア庫として生まれてきた妹のAnnaはどうなのか。
ドナーとしてマッチさえすれば自分でなくてもよかったのだから、
彼女には自分が「かけがえのない存在」だと感じることができないのです。
わざわざもう一人子どもを産むほどの努力を払ったのだから、
Kateが両親にとって「かけがえのない子ども」だったことは自明なのですが、
では、姉の臓器のスペア庫として生まれてきた妹のAnnaはどうなのか。
ドナーとしてマッチさえすれば自分でなくてもよかったのだから、
彼女には自分が「かけがえのない存在」だと感じることができないのです。
「救済者兄弟」の残酷さに憤る人がどうしてこんなに少ないのか。
この記事の中でも英国が世界に先駆けて救済者兄弟を認めたのは2001年となっています。
【追追記】
スペインでも2008年10月に救済者兄弟の第1号Javior君が生まれています。
スペインでも2008年10月に救済者兄弟の第1号Javior君が生まれています。
その法的根拠がよく分からないのですが、記事にあるのは
両親が「必要な許可は全部取ってある」といっているのですが、
その「必要な許可」というのが、どういう権限のところから
どういう理由と法的根拠で出された許可されたのか、全く不明。
その「必要な許可」というのが、どういう権限のところから
どういう理由と法的根拠で出された許可されたのか、全く不明。