中絶に関する気になるニュース

ニュースそのものもショッキングで、

妊娠24週目を超えると中絶が違法となるイギリスから
多数の妊婦が送り込まれていたと見られるスペインのクリニックが
違法な中絶の疑いで捜索されたところ、
堕胎した胎児を粉砕して下水に流すための機械が発見された、と。

(そのスペインでは妊娠22週目を越えると違法だというのですが。)



粉砕音が大きいので、
クリニックでは機械の使用は午前の早い時間に限っていたとも。

妊娠8ヶ月の中絶も行っていたらしく、
その方法は胎児の心臓に毒物を注射するというもの。

関係者は逮捕され、
妊婦をそのクリニックに紹介していた機関が英国でも問題視されているのですが、

何とも暗澹とした気持ちになるニュースです。

生まれることのなかった胎児だから人間ではないし、
どうせ捨てるんだから、ゴミと同じだろうとでも?
だから、要らなくなった木箱みたいに粉砕して捨てたっていいだろうと?

やはり、何かこの時代、
とても基本的なところが狂ってきているのでは?


そして何より気にかかるのは、
この記事の最後に、注記のように追加されている以下の記述。

英国政府は
子どもに重大な障害のリスクがある場合に
妊娠後期の中絶を認める新たなガイドラインを作りたいと表明している。

中絶に反対する人たちは、
(現在でも)対象となる異常が定義されていないので、
口蓋裂などの些細な理由で中絶が行われてきたと指摘する。

国会議員の両党委員会が”異常”の一覧を公表せよとの要求を拒否したのに続き、
政府は英国産婦人科学会に新たなガイドラインの作成を依頼すると述べた。

その英国産婦人科学会は、
もっと能力のある患者にベッドを空けるために、
重症障害新生児の安楽死を提唱しているのです。
彼らを「ベッドふさぎ」とまで呼ばわって。


【追記】

その後、以下のように12月5日に
GPの診療所でも中絶薬による早期の中絶を可能とする、
つまり中絶を簡便にできるようにする方向で
保健省が制度の改変を検討しているとのニュースが報じられているのも、
気になります。

この動きが上記のガイドライン作成の動きとつながっているとしたら、
「妊娠の初期も後期も中絶しやすく」ということ?

障害児を生ませないために?



Abortions at GP surgeries under consideration
The Guardian, December 5, 2007

【追追記】
その後、英国では
胎児に障害がある場合には妊娠のどの過程であれ、
また、すでに出産段階であっても中絶できると法律が認めている
という話が議会の議論(11月19日)の中で出ているので、

それを前提に上記記事の追記部分を読むと、

ガイドラインを作ることによって妊娠後期の中絶を認める」のではなく、
「それを認めるに当たって(条件を明確化する?)ガイドラインを作る」
という意味のように思われます。

いずれにしても、
障害を理由にした中絶を巡る周辺手続きの見直しは
産婦人科学会の重症障害新生児に向ける視線と同じ方向で行われようとしているようです。