誤診から余命宣告されたけど「死ななかった男」(MT)

米国、モンタナ州の男性 Mark Templinさんは
2009年に悪性脳腫瘍で余命6カ月と医師に宣告された。

娘さんの一人が医師にどういう死に方になるかと問うと、
脳腫瘍が「カリフラワーのように」大きくなり、脳出血で死ぬ、との答えだった。

そこでTemplinさんは仕事を辞めて身辺を整理。
家の玄関には「蘇生不要」と大きな張り紙を出した。

家族は最後の誕生パーティを開き、
Templinさんは家族に葬式費用を渡した。
義理の息子に遺灰を入れるための木箱を手作りしてもらい、
いよいよホスピスへ。

途中、拳銃自殺することも考えたという。

ところが、ホスピスで容体は回復。
ホスピスを出て、さらに検査を受けてみると、
脳腫瘍なんかなくて、単なる脳卒中だったことが判明。

誤診で余命宣告をされた精神的苦痛に対して
裁判所は病院に59000ドルの支払いを命じた。

それから「最後の誕生会」の費用と、
予約していた葬式代の賠償も。

The man who didn’t die
BioEdge, May 25, 2013


現在、PAS違法化法案と合法化法案が議会に相次いで提出されている
モンタナ州での出来事だということの意味は大きい。

もしTemplinさんがOR, WA, VT州に住んでいて、
この診断書を根拠に、医師による自殺幇助を申請していたら、認められていたわけだから。

実際、WA州、シアトルのがんセンターSCCAの「尊厳死プログラム」で
余命6カ月とされて医師が致死薬を処方した患者24人のうち、
11人が6カ月を超えて生きた、というデータが出ている。
9人は半年を平均7.4週超えたところで致死薬を飲んで死んでおり、
飲まなかったら、どれだけ生きたかは不明。
最長は半年を18.9週(つまり4カ月)超えてから飲んでいる ↓



改めて医師が「余命」を宣告することの難しさ、
その「余命宣告」がPASの根拠とされることの危うさを考えさせられる事件。