すぐキレる問題行動ドクターは“怒りコントロール”講座へ送られる新時代(米)

もちろん、あくまでも少数に過ぎないけれど、
命令し、怒鳴り、わめき、暴言を吐き、キレる医師というのはいる。

専門家によると、
米国の医師のだいたい3~5%ではないか、とのこと。

例えば記事の冒頭に出てくるのは、
手術中に手渡された器具が正しく設定されておらず使えなかったことでカッとなり、
テーブルに叩きつけて助手の指を骨折させた外科医。

他に、例えば
患者のことで看護師が夜中に電話すると怒鳴りつける、
手術室で研修医がとろいとメスを投げつける、
他の職員を愚弄するようなものの言い方をする、
次々に質問する患者を途中で遮る……などなど。

(ちなみに私は、ミュウの腸ねん転の手術直後に
痛み止めの座薬を入れてもらえないので、
入れてやってほしいと訴えていた時に、その言葉途中で、
ハエでも追い払うような手ぶりで会話を一方的に途絶され、
そのまま医師に立ち去られた経験があります)

文中にあるすごい事例では
手術中に麻酔科医と口論になった外科医が
「ちょっと外に出ろ」と麻酔科医を引きずり出してったまま
患者を放置した、とか。

しかし、医師はなんといっても病院の職種ヒエラルキーのトップだし、
病院にとっては稼いでくれる立役者なわけだから、
そういうお医者さんたちはこれまで「そういう人だから」とか、
ストレスや責任の大きさで許してもらってきた。

が、ここへ来て、
そういう時代が終わりを告げようとしているらしい。

米国では09年にできた新規制により、病院には、
例えばページング(病棟からの呼び出しなど)に応じないとか
会議に出てこないといった消極的なものを含め、
問題行動への対応策が義務付けられたのだとか。

しかも、その姿勢は「ゼロ・トレランス」。

なんとなれば、医師の迷惑行動は単に不愉快なだけに留まらず、
職員の士気を低下させ、患者の命にすら関わることが
データとして明らかになっているのだそうな。

2011年に842の病院を調査したところ、
71%が、迷惑行動が少なくとも毎月起こると回答。
毎日あると答えた病院も11%もあった。

99%がこうした迷惑行動は患者のケアに悪影響があると答え、
21%は患者に害を及ぼすと答えた。

例えば、カリフォルニアでは
看護師が医師から叱責を受けたりバカにされることを恐れて
モニターに出た気になる数値を報告しなかったために、
母子が死亡した複数の事例が、調査の対象となっている。

IUCの患者が誤嚥性肺炎を起こしているのではないかと案じた看護師が
医師の自宅に電話をかけたところ「勉強が足りない」と相手にせず、
患者が死亡した事例も。

こうした医師の態度が、看護師を現場から遠ざけ、
看護師不足の一因ともなっている。

しかも、今はチーム医療の時代。

問題行動のある医師を対象に、
アンガー・マネジメント(怒りのコントロール)講座がお目見えし、
病院から命じられた医師らが受講している。

3日間の講座の後、
6カ月の間に3回のフォローアップ。
一人4500ドルなり。

なんで自分がここへ送られたのか理解できないという参加者の一人に、
講師は「あなたが傲慢で嫌な奴だと、みんな思ってるからですよ」。

受講者について講師は
「IQは高いけど、情緒的知性は really pathetic」。

専門家によると、そうした問題行動は
パーソナリティに根があって、それが子どもの時の体験で強化されていることが多いが、
上が下を押さえつける医学教育のあり方にも問題がある、とのこと。



読んでいたら、なにやら、
女子柔道界の指導者による暴力問題とそっくりな構図のように思えてきたり……。