米TV番組”The Suicide Plan” FEN事件を詳細に

1時間23分41秒の番組を以下から全編、視聴することができます。

The Suicide Plan
PBS, Frontline, November 13, 2012


前半は主に Compassion & Choiceの活動。

C&Cからの情報提供を受け、薬物を手に入れた肺ガン末期の女性が
夫の負担になりたくないからと、自殺を決意するまでを
娘や夫へのインタビューを含めて詳細に追いかけつつ、
C&Cのディレクターにもインタビューを行っている。

後半はFEN事件

こちらは
ジョージア州のJohn Celmer氏の自殺幇助事件の発覚から起訴までと、
アリゾナ州のJana Van Voorhisさんの自殺幇助事件の発覚から裁判の結審までを

様々な立場の関係者の証言や、FENボランティアの会合の模様、
おとり捜査のビデオ、裁判での映像などを交えて詳細に描く。

FEN事件は、私も当時リアルタイムで追いかけていたので、
ボランティアの会合や訴訟で実際のヘリウムタンクや頭にかぶる袋が出てくるなど、
ちょっと生々しさに息を飲んでしまう感じでした。

FEN事件の概要については
その後閉鎖されたFENのブログサイトで当時どういう内容が書かれていたかも含め、
介護保険情報」2009年4月号の連載で書いています ↓
http://www.arsvi.com/2000/0904km.htm


Frontlineの番組は、闇で行われている自殺幇助を探る、という趣旨で
とても丁寧に作られていますが、

1991年にターミナルな患者への自殺幇助を報告して論議を呼んだTimothy E. Quill医師が登場して、
ターミナルな患者に限るべきだと説き、

素人のボランティアが多剤併用やヘリウムによる自殺をサポートしている
C&CやFENの活動が紹介された後で、

ふたたび登場して、彼らのやり方は非常に危険であり、
医師による自殺幇助が合法化されないために闇での危うい自殺幇助がはびこる、と主張.

その主張が説得力を持つような番組構成になっている、という感じ。

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この番組には、
これまで当ブログで追いかけてきた事件や組織や人物がほとんど登場しています。

まず、C&C に関しては、
ものすごい数のエントリーがありますが、
例えば、こういうのだと、どういう存在か分かりやすいかも ↓
C&Cが移植医と一緒に「尊厳死法に参加しましょう」と医師らに呼び掛け(2009/4/16)
WA自殺幇助第2例:またもC&Cが報告、詳細は明かさず(2009/6/4)
OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与、たった20人の医師がせっせと処方(2010/3/11)

そのC&Cの前身が
番組にも登場している“Final Exit”の著者Derek Humphryが作ったヘムロック・ソサエティ

でも、C&CとFENにまったく関係がないというわけでもなさそうで、
その辺りの関係については、こちらに ↓
「FENもC&Cも目指すところは同じ、弱者を危険にさらす公共施策」と医療弁護士(2009/4/16)
C&Cの創設者がブログでFEN支援の寄付を呼び掛け(2009/6/17)



その他、多くの事件を含む FEN事件の中でも、
Flontlineの番組に出てくる John Celmer氏の自殺幇助事件については ↓
尊厳死アドボケイト団体の幹部4人を逮捕、他8週も自殺幇助容疑で家宅捜査(米)
FEN創設者GoodwinのAP通信インタビュー








また、父親の自殺幇助で逮捕・起訴されたMA州のBruce Brodigan氏が
思いやりからやったこととして無罪となった事件については、以下の補遺で拾っています。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62534074.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62539901.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/64471285.html


なお、この番組とは直接の関係はありませんが、
Exoo師とその助手だった女性による闇の自殺幇助については ↓
闇の安楽死つかさどる牧師 George Exoo(2008/5/29)
“闇の安楽死”でNZの女性が自殺(2008/5/29)
NZのうつ病女性の自殺幇助で米女性を起訴か(2009/7/26)
ウツ病女性の“闇の商業安楽死”でNZ警察が米国人女性を起訴(2010/3/27)