「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル

肌の発汗状態を電気信号化して人の集中や緊張度を測る技術
Galvanic Skin Response(GSR)を使ったブレスレットを授業中に生徒に装着させ、
それによって教師の技量を評価するシステムの研究に、

Gates財団から多額の資金が提供されている。

同財団が推進するMeasuring Effective Teachers (MET)プロジェクトの一環として、
Clemson 大学へのグラントとして49万8000ドル、
The National Center on Time and Learningへのグラントとして62万1000ドル。

合計110万ドル以上が、
このブレスレットを用いた教師評価の研究に費やされていることに。

使われている技術は
刺激に対する情緒と認知の反応をバイオメトリックで計測しようとの
「ニューロ・マーケッティングという振興分野」の一部だが、

生徒が一体、先生のいうことに反応しているのか、
それとも隣の席の友達が言うことに反応しているのかを
ブレスレットには判別できない、

電気代を賄うのにも苦労している学校区があるという時に、
実際に必要な物品ならともかく、なんだって
こんなものに金を使うのか、という批判も。

この記事の著者Valerie Straussは、

If this tells us anything, it is that the obsession with measurement and data in school reform has reached new nutty heights.

このニュースから何か分かることがあるとしたら、学校改革での数値化とデータへの偏執が、また一段とバカバカしさを増した、ということ。



ゲイツ財団の教育改革については、以下のエントリーに ↓
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)


上記の2でも同じよう内容の試みを紹介していますが、

今回のWPの記事でも、ゲイツ財団が進めるMETでは
全米7学校区で教師の評価研究プロジェクトが進められており、そこでは
生徒のテスト・スコアを全国的にデータ化して教師の評価に反映させるとか
教室に監視ビデオを設置するなどが研究されている、とのこと。

ゲイツ財団の教師の評価プロジェクト
Measures of Effective Teaching(MET)については以下のページに ↓
http://www.gatesfoundation.org/united-states/pages/measures-of-effective-teaching-fact-sheet.aspx


ところで、上記のWPの記事を受け、ゲイツ財団側は
同サイトの関連プロジェクトの内容は不慣れな職員による「誤りだった」として
その翌日に言及された2つのグラントの「目的」を修正した、とのこと。

いずれのグラントの目的も
当初、関連付けられていた教師評価プロジェクトに関する記述が削除され、
METとは無関係なブレスレットの有効性研究と書きかえられた。

それを受けて、以下はWPの追加記事。
Gates changes Galvanic bracelet grant description
WP, June 12, 2012



そういえば2008年段階で既に、マイクロソフトからは
以下のような「労務管理システム」が申請されていたっけな……。

ワイヤレス・センサーを使って
従業員の心拍数、体温、動き、顔の表情、血圧などを常時監視し
それらのデーターが管理職のコンピューターに送られることによって、
従業員一人ひとりの生産性がモニターできる。

コンピューターは個々人の体重、年齢、健康状態に関するデーターに照らして
従業員の心拍数の増加や顔の表情から苛立ちとかストレスを感知すると
即座に管理職に知らせて適切な対応を促す。

従業員をパソコンで監視・管理する世界へ(2008/2/12)