インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」

7日の
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?のエントリーで
英国政府の資金でインドの貧困層に強制不妊が行われていることを
4月にガーディアン紙がすっぱ抜いたという話があったので、
その記事を読んでみました。



問題のプログラムは Reproductive and Child Health Program Phase Ⅱ。
英国政府から1億6600万ポンドの資金を得て2005年にスタートした。

当時から、人口増加に悩むインドでは貧困層への強制不妊に使われるのでは、との
懸念は取りざたされていたというが、

英国の国際開発局(DfID)では来年まで資金提供が予定されており、
これまでに提供された1億6200万ポンドの使途には特に条件は付いていないという。

しかし、特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。

もちろん、上記のようなやり方だから死者も多数報告されており、
人権団体などが訴えを起こし、4月初めに裁判所はインド政府、州政府に対して
こうした疑惑に応じるように命じた。

しかしインド政府のスタンスは
上記プログラムにおいては不妊手術をなおも家族計画の最も一般的な手段としており、

英国のDfIDの2010年の報告書でも
地球温暖化への対策のために、こうしたプログラムの推進が必要だと述べている。

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非常に興味深いと思うのは、
ここで強制不妊プログラムのターゲットにされている州の一つBiharが
ゲイツ夫妻が10年に「養子にした」ほどにゲイツ財団と縁の深い州であること。

ゲイツ夫妻が去年5月にビハールを訪れた際には
ビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書を交わしていること。