2009年に、ネットの別のところで書いたものを、
なんとなく、こちらに書き写しておきたくなったので――。



もう2年くらい、蚊をやっている。

象に闘いを挑んでいく蚊。

倒すどころか刺すことすら、できっこないのに
一人で力んで槍を構え
象の周りをぶんぶん飛んでいる。

もちろん象はそんな蚊がいることすら
まったく知らない。

象だけでなく世界中の誰も知らない……

……とばかり思っていたら、
この前ひょっこりGoogleのアラートが
どこかの誰かの言葉をひろってきた。

Here is someone who keeps the good fight.
(がんばって闘っている人がいる)

日付を見たら3ヶ月も前の言葉だった。

こんなにちっこい蚊のことを
ちゃんと見つけてくれる人がいた……。

ジン……ときた。

過ぎ去った3ヶ月のかなたのどこかの誰かに向かって
「ありがとう」と手を合わせ、丁重に頭を下げた。

日本の蚊だからね。

そしてドンキホーテみたいな日本の蚊は
このフレーズを懐にしっかり仕舞わせてもらったよ。

Keep a good fight.

結果じゃない。
蚊には蚊なりの good fight さ。

象め。



蚊はその後、去年秋に
「アシュリー事件」という本を書きました。

蚊には蚊なりに、精いっぱいのファイトの戦記――。