ウズベキスタンで強制不妊:人口抑制と周産期死亡率を落とす手段として

ウズベキスタン
本人に無断で子宮摘出や卵管結紮などの不妊措置が行われている。

ある女性は2人目を生んだ後で身体の不調が続くので
受診してみると、子宮が摘出されているので驚いたが
無断で摘出した医師らは「もう要らないでしょ、2人も子どもがいるんだから」と。

もともとウズベキスタンには、
子沢山の大家族をよしとする文化があるようなのだけど、

外国人ジャーナリストが歓迎されない同国関係者への
あの手この手でのBBCの取材によると、

ここ2年ほど政府の施策として、
本人に無断の不妊治療が行われており、

年ごとに実施計画が出され、
地域によっては医師当たりのノルマが課せられることもあり、
特に田舎では産科医に週当たり8人というノルマも。

出産の際に本人が知らない内にやられていたというケースもあれば、
クリニックの看護師らが「今ならタダだけど、そのうちカネがかかるようになるから」と
進めて歩くという話も。

保健省のソースは
人口抑制策としてやっていることだと明かしたらしいけれど、
一方で人口動態の専門家は人口増加の要因の一つは移民の流入だという。

最初に報告されたのは2005年。
法医学者が若い女性の遺体に子宮がないものが多すぎることに気付いて
それらの女性の背景を調査し、結果を公表した。そしてクビになった。
07年には投獄された。

07年には国連の拷問禁止委員会が同国の不妊手術の実態を報告し、
その後、件数は減少したが、その後また上昇しているエビデンスがある。

書類上は自発的なものとされるが
貧しい女性を誘導・操作することは簡単だ。

出産時に帝王切開になるケースがここ2年で急増している。
不妊手術を行いやすくするためと思われる。

不妊手術の目的は人口抑制だけではなく、
母子死亡率を引き下げる目的でも行われている、と同国の医療関係者。

出産件数が減れば、それだけ周産期の死亡件数も減る、という単純な話。
そして、母子保健の国際ランキングが上がる。

そんなヤリクチを使って実態を偽ってでも
ランキングをあげることに政府は必死になっている。

というのも、最近になって米国とEU経済制裁が解かれ、
その背景には米国とパキスタンとの関係悪化、
NATOアフガニスタンに軍や物資を送るために
ウズベキスタンを通過する必要があるため。

特にここ数カ月は西側要人が頻々と同国を訪れており、
それら要人は人権問題には触れようとはしない。

BBCに対してウズベキスタン政府は
強制不妊手術プログラムなど事実無根である、と反発し、

同国の母子保健は優秀で
他国のモデルとされるべきである、と。



アフリカの途上国について
しきりに母子保健を説き、死亡率を下げようとのキャンペーンを行って
各国政府や世界中の富裕層から金を集めている人たちが

同時に“革新的な避妊方法”を云々していることを
つい考えてしまう。


ちなみに、去年9月に世界医師会が
以下のような宣言を出しています。


それ以前の関連エントリーも多数ありますが、
上記エントリーにリンクしています。