医療職のアイデンティティがケアラーへの情報提供と意思決定支援に影響

BMC Medical Informatics and Decision Making 2012, 12:26 に掲載の論文で

初期から中等度の認知症の人を介護しているケアラーへの
レスパイト・サービス選択をめぐる情報の流れと意思決定支援について
専門家とクライエントとそれぞれの視点からの質的研究。

12人のケアラーのインタビューと
3人の専門家アドバイザーのインタビュー、
さらに医療職の職種ごとに分けた3つのグループへのインタビューを
分析した結果、

ケアラーの意思決定支援のニーズについては
医療職の姿勢も考えも多様にバラついており、
それらは医療職ごとのアイデンティティを反映している。

すなわち、それぞれの医療職のアイデンティティごとの姿勢と考えによって
認知症のケアラーにどのような情報を提供すべきか、
それをいつの段階で提供すべきか、など
意思決定支援への姿勢が決まっていく。

中にはケアラーにはリアルな情報を与えない方がよい、と考える職種もあり
そういう職種グループではケアラーへの情報にフィルターをかけている。

この論文の結論は、

医療職の考え方によって情報の流れが疎外されて
クライアントの意思決定能力が制約されている。

そのために、医療サービスから
ケアラーとパートナーとなり共に意思決定を行う能力が失われている。
(共に意思決定を行う shared decision making)

アクセスできる資源さえあれば情報が自由に手に入る時代に
医療職が情報にフィルターをかけることはいかがなものか。



印象的なのは、
ケアラーと医療職の関係において
ケアラーを「クライエント」と称していること。


実は、これ、
昨日からツイッターでいろんな人とやりとりしていたテーマに重なるので
特に興味をひかれたもの。

関連ツイートをひじじききさんが
togetterに取りまとめてくださいました ↓

共居=何気なく一緒にいる場を作ること、医者などの専門家をコマにする/コマにされるなど
http://togetter.com/li/280990