実習生

ミュウは実習生が来ると、
その中から好みのタイプに目をつけ、
全身の愛想という愛想を動員してニコニコ秋波を送る。

時には「あの人でないとイヤだぁ」と摂食拒否でゴネて、
自分の好みの実習生をおびき寄せることすらする。

が、御指名を受けたカレが食事介助に入り、
いざスプーンが口元にくるや、

買ってもらえないと見切りをつけた押し売りみたいに、
笑顔をすっと消してプイッと横を向き、断固ゼッタイに口を開けてやらない……らしい。

なだめられても透かされても。断固。ゼッタイに。
ジリジリと焦っていく実習生の顔をこっそりチラ見しつつ。

で、ついにネを上げた実習生が
職員さんに泣きついて助けを求め、
職員さんに介助が替わると、パクパクと食べ始める。

「え~~。なんでぇ」と
実習生の悲嘆の声を心地よく聞き、ほくそ笑みつつ……。

噂によると、
ウチの娘はどうやら、そういうヤツらしい。

我が家でその毒牙にかかるのは父親。
また、この犠牲者が、懲りるということを知らない。

娘の目に浮かぶ色を見れば遊ばれているのは歴然なのに、
ちょっとせびられると、いそいそと自分のおかずを娘の口元に運んでは、
プイっとすげなくフラれている。

泣く父。

それをチラ見しては、
してやったり、と幸福そうな娘。

まいど、まいど。
凝りもせず、週末ごとに――。