国家的権威から市場主義的権威による超国家企業の政治制度へ

「国家の退場 グローバル経済の新しい主役たち」 
スーザン・ストレンジ 櫻井公人訳 

全然手に負えなくて読んでいないのだけど、
パラパラっとめくって目についた個所が、
今日のエントリーや補遺の内容とも、また
当ブログでずっと描いてきた「大きな絵」とも、
そのまま重なるように思えたので――。


本書の主要な仮説は、国家から市場へのシフトが超国家企業を実際に政治上のプレイヤーに変えたというものである。この議論は超国家企業が国家の外交政策に影響を与えるというものではない。特定の条件下ではありうるとしても、一般的にかつ重要な点で超国家企業が黒幕的パワーだというのではない。むしろ超国家企業自体が政治的制度であり、市民社会と政治的関係をもつという議論である。
(中略)
 パラドクスは、これが全くの偶然としては生じていないことである。国家的権威から市場主義的権威へのシフトは大部分、国家政策の帰結であった。(略)それはやすやすと彼らの手わたされたのであり、さらにいえば「国家理性」と引き換えられたのである。
P.81-82


その、既に政治的制度と化した超国家的企業というのが
「科学とテクノの簡単解決バンザイ文化」の利権のあたり……ということでは?

だって、これ、今日の補遺で書いた以下の部分とぴたりと重なる気がする。

ゲイツ財団など巨大民間団体とアグリ・ビジネスとが繋がって、カネにあかせてやりたい放題をやってきた挙句、農業関連の国際機関が資金力も影響力も失い本来果たすべき役割を果たす力を失って、公共機関と民間機関の境目が危うくなっている。しかし民間機関は公共の利益よりも自らの利益に走っており、この辺で総括してけじめを、というetcグループからの報告書。ざっと20ページ程度に目を通してみたところ、大筋は以下にリンクした2つで書いたような指摘。
http://www.etcgroup.org/content/greed-revolution

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“大型ハイテクGM強欲ひとでなし農業“を巡る、ゲイツ財団、モンサント、米国政府、AGRAの繋がり(2011/10/27)


それから、例えば以下のようなエントリーで書いたようなこととか ↓