2011年12月22日の補遺

PruPublica。ナーシング・ホームを中心に、高齢者が死亡した際に医師が遺体を見ることすらなしに自然死として死亡診断書を書き、虐待や劣悪な介護によるネグレクト、時には殺人までが闇に葬られている米国の実態。調査によると死亡診断書の半数で死因が間違っていたり、アーカンソー州で自然死とされた6遺体を掘り起こしてみたら、4人が窒息死、2人は医療過誤だった、ということも。葬儀屋が痣だらけで肋骨が何本も折れた遺体に気づいて通報したケースでは死因が「アルツハイマー病で衰弱」となっていたり(このケースでは施設職員に足蹴にされて折れた肋骨が肺に刺さって死亡していた)。:診断書を書く医師にも「まぁ、どうせ施設入所の高齢者」意識があり、検死官側にも「ただでさえ忙しいのに、これ以上高齢者の解剖を持って来られたくない」意識があり、総じて社会全体に高齢者差別が。私たちが向かっていこうとしていのも、こういう空気の中で「それはそれ」「これはこれ」で「死の自己決定権」が喧伝される社会。そのうち「施設に入ったら職員に殴り殺されて、闇に葬られるから、それよりも自殺幇助を」という理屈になっていくのかしら。Ashley療法の子宮摘出の正当化の1つは「施設入所することになったらレイプされるから、その時に妊娠しないように」だった。
http://www.propublica.org/article/gone-without-a-case-suspicious-elder-deaths-rarely-investigated

ProPublicaには18日にも、この先触れみたいな記事があった ↓
米国で解剖件数が減って、それが医療過誤の隠ぺいに。ProPublica.
http://www.propublica.org/article/without-autopsies-hospitals-bury-their-mistakes

英国では、こういう調査報告が出ている ↓
検死官が近親者による自殺幇助は見て見ぬフリ(英)(2011/8/25)


昨日の補遺で拾った、フランスのPolyl Implant Prothesesの欠陥豊胸インプラントの問題で、英国の患者250人が同社のインプラントを使用した英国の6クリニックを訴える、と。少なくとも6カ国で多数の女性に使用されており、懸念が世界に広がっている。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/21/british-women-sue-breast-implants?CMP=EMCNEWEML1355
http://www.nytimes.com/2011/12/22/health/health-fears-over-suspect-french-breast-implants-spread-abroad.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha22

日本語。大手マクドナルド社が南米最貧国ボリビアで破産したワケ。これ、これと関係していると思う。 ⇒ ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)
http://www.latina.co.jp/topics/topics_disp.php?code=Topics-20111222114246

「子どもがひとりで遊べない国、アメリカ」の谷口輝世子さんが、ブログにちょっとガハハな記事を。なににつけ、子どもの頭越しに大人同士で話や段取りが決まってくところ、まるで飼い主が犬の管理をするかのごとし。犬と同じように子どもを監視・管理させられる親。:それぞれが書いたものを読みながら触発し合って、谷口さんは子育ての視点から、私は科学とテクノの簡単解決文化の視点から、お互いに米国の管理社会に考えを深めていける体験がここ2日、面白く楽しかった。今回の谷口さんの記事から私が頭に浮かべたのは、子どもへの体罰を禁じていない州が20もあるということと、こういう感覚は「女・子どもは……」という意識にも繋がりやすいような気がするので谷口さんが書いておられる「私の管理をするのは誰なのかしら」に「そりゃ夫」と即答の人もいそうだろうなぁ、というのと、でもこれはやっぱり夫も含めて国家に管理される、なんだろうなぁ、ということ。それからP・シンガーやTH二ストたちの動物と人間を知的能力に応じて直線状に並べてみる感覚。そういえばJames Hughesのサイボーグ社会の“市民権”では「人間の子ども」と「大型類人猿」は同じカテゴリーに入れられていたなー。07年にはTH二ストの言うことは日本人の大半にとってトンデモだったと思うのだけど、今の日本では共感する人が案外に増えているような不気味な感じがある。
http://d.hatena.ne.jp/kiyoko26/20111221

日本語。米国人女性5人に1人が強姦被害、4人に1人がDV被害 全米調査:日本でも「レイプくらい」のような感覚はじわじわと広がっている。これも上で触れた「子どもの体罰は親の権限の内」「女房子供の躾は家長たる男の責任」意識の広がりを思わせられる。社会の保守化で? それとも経済状況の悪化で? というか、何もかもが絡まり合って、そちらに向かってなだれ込んでいくみたいな世の中の急速な変化。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2845994/8202281

英国、養子縁組の手続きを見直し、手続きに時間がかかるために海外からの縁組が増えている問題の解消へ。
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/dec/22/adoption-system-overhaul-planned?CMP=EMCNEWEML1355

介護者たちの共感の場が家族の力を育てる:日本の介護者支援もあちこちで始まり、根付き始めているんだなぁ、と改めて。ただ、この記事を読むと、介護者の集まりが終末期医療差し控えへの誘導の場になる可能性について考えさせられた。とはいえ、私は口だけで何もしてないから、何も言う資格はないのかも。
http://lohasmedical.jp/news/2011/05/23162622.php

日本。親亡き後の障害者の生活、弁護士らが支援組織。:いい話なんだけど、ただ、これみんな、介護・介助があって、その先の話のような気はする。
http://ubenippo.co.jp/2011/12/post-2481.html