世界医師会が「強制不妊は医療の誤用、医療倫理違反、人権侵害」

9月5日、世界医師会(WMA)と
健康と人権組織国際連盟(?)International Federation of Health and Human Rights Organisations
強制不妊は身体的、精神的な健康を甚だしく損ない、
生殖を巡る自己決定権と人権を侵害する暴力であると弾劾。

不妊手術はインフォームド・チョイスが保障される限り、
一定の年齢に達した人には避妊の選択肢の一つとして認められるべきではあるが、

その不可逆的な性格と結果の及ぼす重要性と同時に、
障害者や周辺化された人々に強制的に行われてきた歴史に鑑み、
インフォームド・コンセントを確実に保障する特別な配慮が必要である。

強制不妊は生殖権と人権の明らかな侵害であり、
被害者にはHIV感染者の女性、ルーマニア(?)や先住民の女性、
精神障害・知的障害のある女性、トランスジェンダーの人たち、麻薬中毒の女性や
その他、弱者とされる人々。

こういう人たちに形だけ同意させるために、その弱みにつけこんで
同意しなければ治療してやらないと交換条件にしたり、
カネやモノや心理的・社会的なインセンティブで釣ったり
不妊を受けなければ不利な扱いを受けるように思わせたりしてはならないし、

特に医療職にはこれらの義務を十分に周知・遵守させなければならない。

世界医師会の会長は

残念なことに世界中で強制不妊のケースは報告が続いています。本人の知らない内に行われていたり、コンセントの機会もなしに行われていたりしています。
これは医療の誤用であり、医療倫理違反、明らかな人権侵害です。我々は全ての医師と医療職とに、自国政府に対して強制不妊を禁じるよう働きかけることを求めます。

IFHHROのトップは

医療職には、いかなる医療行為についても自己決定権とインフォームド・コンセントの権利とを尊重する義務があります。また患者の尊厳、プライバシー、自己決定を尊重する責任があり、そこには家族計画を含めセクシュアリティーとリプロダクティブ・ヘルスに関するすべての事柄について、強要や差別や暴力を受けることなく決定を行う権利も含まれます。子どもを産むかどうか、いつ産むかを自分で決定する権利と、その権利を行使する方法へのアクセス権も含まれます。



当ブログが詳細に追いかけてきたAshley事件も、また同事件が英国に飛び火したKatie事件も
知的障害児の強制不妊が関わっている事件です。

2つの事件を追いかける過程で出会って詳細を調べた同様のその他事件として以下のものがあります。




また、これら当ブログのテーマの周辺で拾った強制不妊事件に関するエントリーは
去年3月の段階で一度、以下に取りまとめました ↓
知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない(2010/3/23)


また米国では、いくつかの州で過去の強制不妊の歴史に謝罪や賠償の動きがあり、
MN州、100年に及ぶ差別的施策を障害者に公式謝罪(2010/6/15)
MN州の公式謝罪から「尊厳は無益な概念」を、また考えてみる(2010/6/17)