2011年8月25日の補遺

アシスティッド・リビング施設で夫婦そろって餓死しようとしたら民間住宅に追い出されたRudolph夫妻の事件を受け、NYTに記事。「終末期の選択肢を広げる活動をしている」C&Cから、餓死は合法的で“良い死に方”ができる自殺方法であり、要介護状態になって施設に入るくらいなら、こちらを選ぶのが尊厳を守る選択だと言わんばかりの解説がされている。
http://newoldage.blogs.nytimes.com/2011/08/24/deciding-to-die-then-shown-the-door/

Wesley Smithが上記NYTの記事が施設は餓死自殺を認めろという論調になっていることに対して反論している。
http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2011/08/24/assisted-living-facilities-should-not-be-forced-to-allow-suicide-by-self-starvation/

オランダでカトリックの司教が自発的安楽死で死んだ人の葬儀を執り行うことを拒否し、安楽死議論が再燃。
http://www.irishtimes.com/newspaper/world/2011/0825/1224302935334.html


ナーシング・ホームの人手不足問題。:トイレ介助希望でコールを押しても押しても来てもらえない状態が40分。電話で母親に窮状を訴えられた娘が詰め所に電話すると「今は忙しくて人がいないので待ってもらわないと」「じゃぁ、あなたが行けば? それとも私が今から車を運転して行かないといけないんですか」。この会話はすごいと思うのだけど、考えてみれば日本だったら、とっくにオムツになっている?
http://newoldage.blogs.nytimes.com/2009/10/07/the-nursing-home-as-battle-zone/

NIHが政府資金の研究における利益の相反とディスクロージャーのルールを最終的に固めた。去年暫定的に発表されたものよりも数段、後退したらしい。製薬会社または医療機器会社から年間5000ドル以上の収入がある研究者については、大学や研究機関がその詳細を把握しておくことが義務付けられるが、その情報はオンラインで公開の必要はなく、求められた場合に公表すればよい。公費による研究に携わる研究者を雇っている機関には、利益の相反に関する方針を策定することが義務付けられるが、この方針も公開する必要はない、など。NIHのトップはたいていの研究者の倫理感が高いことを称賛しているけど、ProPublicaの調査によると今なお実態はこんな感じ。そういえばGrassley議員の頑張りでできた Sunshine法との関係はどうなんだろう……?
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/nih-finalizes-financial-conflict-of-interest-rules/2011/08/23/gIQAxX3QZJ_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

上記の記事で言及されているNemeroff医師のスキャンダルについては以下に ↓
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過小報告(2008/10/6)

インドの農業ビジネスが東アフリカの土地を買い占めにかかっている。エチオピアタンザニアウガンダなど。:この話、この話と繋がっているような気がする。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2011/aug/24/indian-agribusiness-land-east-africa?CMP=EMCGT_250811&

米国でもウォーレン・バフェット氏が富裕層に増税しろと提言していたけど、フランスでも超富裕層の間から「もっと税金を払おう」という声。:ごく一部の富裕層に富が過剰に集中したためにカネが流れなくなって世界の経済が成り立たなくなっているなら、その仕組みを変えていかなければどうにもならない、ということなんじゃないかと前から漠然と考えていて、詳しく勉強したわけではないけど、ベーシック・インカムもそういう世の中の構造変化の中で位置付けて考えるべき一方策なんじゃないかという気がしている。なんとなく……でいつもえらそーにものを言ってスミマセン。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/24/wealthiest-french-citizens-ask-to-pay-more-tax?CMP=EMCGT_250811&

「大売れするか、さっさと潰れるか」と、NYTに激化するスマホ業界の酷薄な競争について。でもこれ、実はスマホだけじゃなくて、すべての業界にそういうルールが浸透しつつあるような、でもって、それによって世界の経済活動の大半が実はどんどん成り立たなくなっていっているんじゃないのかなぁ……。
Sell Big or Die Fast: These days, large technology companies – particularly those in hypercompetitive smartphone and tablet industries – are cutting their losses with increasing speed.

スイス政府が英国政府との間で、英国で支払われるべき税金を脱税している人の口座からスイス銀行がその金額を引き落として英国政府に渡す、との合意。2013年から。:スイス銀行の歴史的転換?
http://www.guardian.co.uk/business/2011/aug/24/switzerland-does-tax-deal-with-treasury?CMP=EMCGT_250811&

新たな研究で見つかった犯罪抑止策とは、幸福。「ハッピーになりなさい! 前向きな気持ち、ウツ、青少年犯罪」という論文。:ハッピーになりなさい!と個人の責任に帰するタイトルが気に食わない。弱肉強食のグローバル強欲ひとでなし金融ネオリベ資本主義で、世界中が虐待的な親のようになっていることを根本的に考え直さないと、若者がハッピーに生きていけるような社会が地球上からどんどん失われていっているというのに。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/233130.php

がん研究の黄金時代に向け、自ら進んで被験者となる「人間モルモット」たち。:「ワクチンの10年」と並行して、では「抗がん剤の黄金時代」も? でも、NHSも抗がん剤は高価だから対象外にしたり、米国のメディケアでも抗がん剤によって給付対象外とする州が増えているはずなので(OR州は「抗がん剤はダメだけど自殺幇助はOK」だし)、じゃぁ、抗がん剤黄金時代のマーケットはひたすら富裕層狙いってことでしょうか? 読めていないので何とも言えませんが、この記事は英国なので、NHSで抗がん剤を使えない患者が、新薬研究の被験者となることで治療を受けようと「人間モルモット」に?
http://www.guardian.co.uk/science/2011/aug/22/human-guinea-pigs-cancer-research?CMP=EMCGT_230811&

こちらの記事によると、ガンという病気が解明されることが期待されているという意味での「がん研究の黄金時代」なんだとか。解明されれば治療法に革命が起こり、治療薬のコストが下がる、とのこと。
http://www.guardian.co.uk/science/2011/aug/22/cancer-research-golden-era?CMP=EMCGT_230811&

外来の抗がん剤治療部門で働く看護師の17%が皮膚や目を通して抗がん剤の毒性に晒されている。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/233158.php

リビア保管の核物質に流出の恐れ、武器転用の可能性も。日本語。:原子力の安全性という点では、こういう事態も想定しなければ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110825-00000624-reu-int


英国で人種差別感情から中国人男性が若者に殺された事件で、ヘイト・クライムとして扱わなかった捜査ミスを警察が認めた。:緊縮政策から暴動が起こるような空気の中ではヘイト・クライムは起こりやすくなっているだろうことが懸念される。
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/aug/23/police-admit-failures-murder-racist?CMP=EMCGT_240811&