安楽死のライブ中継は「意識革命ですよ。同時に視聴者の投票という新しい面白みも加えます」
Daily Mailが取材し、昨日、記事にしていた。
そこに一昨日の記事にはなかった情報がいくつか出てきていて、
そこに一昨日の記事にはなかった情報がいくつか出てきていて、
WHAAAAAAAAAT???
目を剥いたのは、Ivanisovichさんの自殺の方法――。
これまでのDignitasでの「自殺幇助」とは
医師が(Dignitasの提携医だから、そこは、ね)予めその人に処方した毒物を
Dignitasスタッフの介助によって本人が飲んで死ぬ、というもの。
医師が(Dignitasの提携医だから、そこは、ね)予めその人に処方した毒物を
Dignitasスタッフの介助によって本人が飲んで死ぬ、というもの。
以前、いろんな国で放送されて物議をかもした米国人ALS患者Ewertさんの自殺場面でも、
スタッフが「自分で飲むことが大事。自己決定の証だから」と念押ししていた。
(Ewert氏の死の映像が映画化されて出回っている件については文末にリンク)
スタッフが「自分で飲むことが大事。自己決定の証だから」と念押ししていた。
(Ewert氏の死の映像が映画化されて出回っている件については文末にリンク)
しかるに!
今回、Ivanisovichさんには、医師が致死薬を注射するのだという。
たしかスイスで自殺幇助が合法と解釈されているのは、
自殺そのものが非合法でないことに加えて、
個人的な利益という動機からではなく自殺を幇助する行為は違法とされないという
2点からの法解釈によるものだったはず。
自殺そのものが非合法でないことに加えて、
個人的な利益という動機からではなく自殺を幇助する行為は違法とされないという
2点からの法解釈によるものだったはず。
なら、なんで、そんなことが許されるんだ????
しかもEwertさんの映像はあくまでも録画ビデオが流されたものだったのに対して
今回はライブなのだから、これは「殺人」場面のライブ中継ではないのか??
今回はライブなのだから、これは「殺人」場面のライブ中継ではないのか??
もう1つ、前の記事にはなかったのが
このサイトの担当者と、“独占放映権”を買った富豪の言葉――。
このサイトの担当者と、“独占放映権”を買った富豪の言葉――。
まずサイトの担当者は
「我々が何を見るか、どういう方法でそれを見るか、という問題についての、
これは意識革命(breakthrough in consciousness)ですよ」
「我々が何を見るか、どういう方法でそれを見るか、という問題についての、
これは意識革命(breakthrough in consciousness)ですよ」
富豪のAlki David氏は
We are creating a new form of interactive special interest with Battlecam’s unique voting system. The online audience will actually vote whether they want to see the suicide or not.
BattleCamサイト独自の投票システムを使って、これまでにない交流式の面白みを今回は加えていきますよ。オンラインで観客が、この自殺場面を見たいかどうかを実際に投票するんです。
BattleCamサイト独自の投票システムを使って、これまでにない交流式の面白みを今回は加えていきますよ。オンラインで観客が、この自殺場面を見たいかどうかを実際に投票するんです。
なお、それ以外にもDavid氏のコメントとして引用されているものは
上記のRadorの記事ではIvanisovich氏のコメントとして引用されているもので
ちょっと情報に混乱があるようです。
上記のRadorの記事ではIvanisovich氏のコメントとして引用されているもので
ちょっと情報に混乱があるようです。
それから、David氏はIT系の富豪ではなく、
船会社やボトル製造帝国を跡取りとして継いだ人、のようです。
本人も俳優だと書かれていますが、去年立ち上げたBattleCamには、
私にはイマイチ背景が分からないんだけど、政治的背景もあるみたい。
船会社やボトル製造帝国を跡取りとして継いだ人、のようです。
本人も俳優だと書かれていますが、去年立ち上げたBattleCamには、
私にはイマイチ背景が分からないんだけど、政治的背景もあるみたい。
どうも、今回のこと、その辺りが匂うのでは?
まるで、世界中で「自殺映像で洗脳」キャンペーンが行われているみたいな……。
Suicide to be broadcast on the internet: Terminally ill Russian brain cancer patient to have his assisted death at Swiss clinic streamed live
The Daily Mail, July 29, 2011
The Daily Mail, July 29, 2011
「自己決定」というのは、
本当に自由な選択が保障された状況下での話じゃないんだろうか。
本当に自由な選択が保障された状況下での話じゃないんだろうか。
ナイジェリアの赤ちゃん工場で子どもを産まされていた少女たちだって、
何らかの形で「産んでもいい」と解釈しうる言葉を吐いていれば
それも「自己決定」だから「本人の自由だ」ということにされるのかもしれないし、
何らかの形で「産んでもいい」と解釈しうる言葉を吐いていれば
それも「自己決定」だから「本人の自由だ」ということにされるのかもしれないし、
代理母をやるインドやギリシアの貧しい女性だって、
それ以外には一家が生きていく方策が見つからないために
「私も代理母をやりたい」と業者を訪ねていくのだとしても、
それも「自己決定」ということで片づけられてしまうんでしょーよ。
それ以外には一家が生きていく方策が見つからないために
「私も代理母をやりたい」と業者を訪ねていくのだとしても、
それも「自己決定」ということで片づけられてしまうんでしょーよ。
そういう人たちの「やります」の、一体どこが
「本人の自由意思」による「自己決定」だというんだ?
「本人の自由意思」による「自己決定」だというんだ?
Ivanisovich氏は、放映権を買ってもらったことで
「家族が自分の死後も今の家で暮らし続けることができる」と“感謝”している。
「家族が自分の死後も今の家で暮らし続けることができる」と“感謝”している。
そんな理由で、自分の自殺場面を世界中にライブ中継してもらおうとする行為は
本当に健全な「自己決定」なのか。
本当に健全な「自己決定」なのか。
そんな「自己決定」に乗っかって、みんなで人の死を見世物にして娯楽にするなんて
それが一体、健全な人間のすることなのか。
それが一体、健全な人間のすることなのか。
でも、同じことを全く別の意味で望む人だっているのでは……? と思って、
心底、ぞおおおおおっとした。
心底、ぞおおおおおっとした。
――――――
家庭がその中に複数の問題を複合的に抱えてしまう時、
人は健全な自己決定を行う能力を失っていきます。
その典型が自殺念慮です。
支援とは、
その人が本来持っている健全な自己決定能力を
取り戻せるためにはどうしたらいいかを
その人に寄り添いながら、共に悩み、考えること。
人は健全な自己決定を行う能力を失っていきます。
その典型が自殺念慮です。
支援とは、
その人が本来持っている健全な自己決定能力を
取り戻せるためにはどうしたらいいかを
その人に寄り添いながら、共に悩み、考えること。
【Ewert氏のDignitas死映像関連エントリー】
英TVでDignitasでの自殺映像、Brown首相は「合法化は支持しない」(2008/12/12)
豪TVでも、DignitasでのALS患者の自殺映像放送へ(2009/8/17)
デンマークでも幇助自殺映像をTV放送(2009/10/6)
ALS患者のDignitas自殺映像が映画祭に(米WA州)(2009/10/16)
1度も上映されたことのない「自殺幇助合法化ドキュメンタリー」がオスカー候補……の怪(2010/2/19)
英TVでDignitasでの自殺映像、Brown首相は「合法化は支持しない」(2008/12/12)
豪TVでも、DignitasでのALS患者の自殺映像放送へ(2009/8/17)
デンマークでも幇助自殺映像をTV放送(2009/10/6)
ALS患者のDignitas自殺映像が映画祭に(米WA州)(2009/10/16)
1度も上映されたことのない「自殺幇助合法化ドキュメンタリー」がオスカー候補……の怪(2010/2/19)