「OR州の尊厳死法は成功」と解説する「医学部学士編入コース」問題文の怪
今日の午後、スイスの住民投票の日本語ニュースを検索していた際に、
「妙なもの」というべきか「面白いもの」というべきか、
なにしろ「おや? おやおや、おや~ぁ?」と尻上がりに語尾が伸びそうな文書に
行き当たってしまいました。
なにしろ「おや? おやおや、おや~ぁ?」と尻上がりに語尾が伸びそうな文書に
行き当たってしまいました。
インターネットってな、いろいろと、まさに“お宝”の宝庫ですね。
2ページ。タイトルは、シンプルに「A.2.3」。
内容は、世界のPAS(医師による自殺幇助)の概要を取りまとめたもの。
内容は、世界のPAS(医師による自殺幇助)の概要を取りまとめたもの。
ただ、検索でPDF文書に行き当たるとよくあるように、
どこの誰が出した、どういう性格の文書であるかの情報が
そのページ内に含まれていない「名無しのゴンベさん文書」。
どこの誰が出した、どういう性格の文書であるかの情報が
そのページ内に含まれていない「名無しのゴンベさん文書」。
1998~2007 年の間に医師等は致死量の薬剤投与の処方箋を総計541 枚書いたが、そのうち341 名が薬剤の摂取により死亡している。処方箋を受け取っても13名の患者は2007年末の時点で生存しており、処方箋を受け取った残りの患者は、結局、本来の病気が原因で亡くなっている。致死量の薬剤を摂取した後に、亡くなった患者グループの年齢中央値は69 歳であり、ほとんどすべてが白人で比較的、教養のある人達であった。ODHS のデータによると、グループの構成は男性のほうがやや多くなっている。約86%がホスピスに在院しており、81.5%が末期癌患者であった。
自ら行う医療の本質からか、あるいは個人的に(自殺幇助に)関わることに反対しているために、オレゴン州の多くの医師はこれまで致死量の薬剤を投与する処方箋を書いてはいない。2007 年に、45 人の医師が85 枚の処方箋を発行している(医師によって1枚から10 枚の幅がある)
なので、最初の印象は「なんだか、まだらに詳細だなぁ……」というものだった。
たぶん書いた人がたまたま手に入れた何本かの情報から
さささっと取りまとめて書いたもので、手元にたまたま詳細があった情報だけが詳細、
それで「まだらに詳細」という印象になるのかなぁ……と勝手な推理をしつつ、
読み進んで後半にさしかかると、
さささっと取りまとめて書いたもので、手元にたまたま詳細があった情報だけが詳細、
それで「まだらに詳細」という印象になるのかなぁ……と勝手な推理をしつつ、
読み進んで後半にさしかかると、
と、「名無しのゴンベ」さんが「懸念を覚える」と、いきなり個人の声になって力む。
更に、それに続く結論部分では、
医師達は、自ら死を早めることを願う末期患者へ致死量の薬剤を処方するということに反対し続けるだろう。それにもかかわらず、ワシントン州の発議案が支持され、他州でも同様の法的な変更が起きる可能性があることで、医療関係者には、末期医療を改善し続けるために為しうることを見極める機会が与えられるのである。
ふ~む。興味深い結論だなぁ……。
そこには具体的なデータや情報は一切、全くないんだけど、
オレゴンでは医師が終末期の緩和ケアや在宅医療に秀でていて
死にたいと考えるような劣悪なケアを受ける患者が減ったから尊厳死法を作れたのだと
たぶん言いたいんだろうな……という感じの段落。
この段落が一番説得力に乏しいんだけどね。
オレゴンでは医師が終末期の緩和ケアや在宅医療に秀でていて
死にたいと考えるような劣悪なケアを受ける患者が減ったから尊厳死法を作れたのだと
たぶん言いたいんだろうな……という感じの段落。
この段落が一番説得力に乏しいんだけどね。
これって……「まだらに詳細」なだけじゃなくて、「偏ってる」のか……?
だって、緩和ケアについていうなら、
オランダでは合法化以降、緩和ケアは崩壊していると前の保健相が言っているし、
「抗がん剤はダメだけどPASはOK」というのはオレゴンについては有名な話。
そういうのを全部はしょって、「成功している」って?
オランダでは合法化以降、緩和ケアは崩壊していると前の保健相が言っているし、
「抗がん剤はダメだけどPASはOK」というのはオレゴンについては有名な話。
そういうのを全部はしょって、「成功している」って?
で、この文書、2ページめまで行くと、「回答例」なるものに出くわす。
ただし、問そのものは存在しない。
ただし、問そのものは存在しない。
問1の回答例は面倒くさいから省いて、
問2と問3の回答例は、
問2と問3の回答例は、
実は問2の回答の前半は、本文の内容の逆なんですわ。
本文は「緩和ケアが良くなったから尊厳死法が出来た」という趣旨なのに
回答例は「尊厳死法が出来たら緩和ケアが良くなった」と答えている。
さらに言えば、回答例の前半と後半の因果関係がムチャクチャ。
これ、本当ならペケ回答のはずなんだけど、なぜかこれが「回答例」。
回答例は「尊厳死法が出来たら緩和ケアが良くなった」と答えている。
さらに言えば、回答例の前半と後半の因果関係がムチャクチャ。
これ、本当ならペケ回答のはずなんだけど、なぜかこれが「回答例」。
で、問4のところには「訳例参照」とあるので、
ああ、さっきの下線部のことか……。
ああ、さっきの下線部のことか……。
なに、これ? まさか、どこかの大学の医学部の試験問題とか……?
え、でも、それじゃぁ医学部の教育って、こんなに情報が偏向しているの……?
これで医学生に「米国の尊厳死法」とかって教育されたら、それって情報操作では……?
え、でも、それじゃぁ医学部の教育って、こんなに情報が偏向しているの……?
これで医学生に「米国の尊厳死法」とかって教育されたら、それって情報操作では……?
Web講座とか公開実力テストとか通信講座とか公開模試とか、
いろいろあるみたいだから、上の「A.2.3」もそんな中の文書だったのでは?
いろいろあるみたいだから、上の「A.2.3」もそんな中の文書だったのでは?
訳例とあるから、もしかしたら英文の長文問題の日本語訳だったのか?
しかし、そういうことかぁ……と了解して改めて読み直してみると、
つくづく妙な解説文だと首をかしげてしまう。
つくづく妙な解説文だと首をかしげてしまう。
どんなふうに妙か……というのが、
なかなか言葉で説明しにくいのだけど、
なかなか言葉で説明しにくいのだけど、
例えていうならば、Biedermanスキャンダルについて
以下のような問題文が作られているのを見せられた、みたいな……。
以下のような問題文が作られているのを見せられた、みたいな……。