中高の授業でDr. Deathが自殺装置を披露する「教育ビデオ」(英)

Bristolに拠点を置くClassroom Videoという会社がある。
UKのほぼ全学校に向けた映像教材を提供している。

ここが20分ものの哲学の授業用ビデオを作製した。
既に英国の14歳から18歳の生徒たちに見せられている。

そのビデオの中に、
あのオーストラリアのDr. Death ことDr. Nitschkeが登場しているという。

しかも、自分が考案した自殺装置を披露している場面なのだとか。

また患者の自殺を幇助して医師免許をはく奪されたMichael Irwinも登場し
「少なくとも9人がDignitasで死ぬのを手伝えたことを、とても喜んでいる」と語っている。
(Dr. Irwinについては文末にリンク)

制作したプロデューサーThomasina Gibson
ティーンエジャーをヤング・アダルトとして扱うなら
議論のすべての立場を提示して自分たちに議論させ、
自分の考えを決めさせるべきです。
生徒からも教師からも非常に高い評価が届いていますよ」

批判的な立場からはCare Not Killingからの映像と
Baroness Campbellが淡々と訴える映像が含まれている。

しかし、批判の立場からはもちろん、
自殺幇助合法化に賛成の立場からもDr. Nitschkeの部分については
「我々は医師による自殺幇助の合法化は目指しているが、
自殺の方法そのものを広めるような人のアドボケイトをしているわけではない」と
批判も出ている。



たしか2008年ごろじゃなかったかな。
ロンドンの若者たちに自殺が相次いで社会問題になっていたのは。

たしか背景として指摘されていた中には
家庭の崩壊、親の育児力・教育力の低下、向精神薬の副作用、
雇用の不安定化、貧富の格差の固定化、などなど。

(もちろん最も重要視されて対応が言われていたのは親の教育力の低下だった)

それでなくても14歳から18歳というのは
自殺リスクが高い年齢じゃないかと思うのだけど、

そういう年齢層の子どもたちに、
学校で平然とこういう映像を見せる教師の神経が分からない。

社会のお荷物になるよりは死ぬ方がいいという価値観を植え付け、
それが多感な子どもたちを自殺に追いやったらどうするのか、との
懸念が出ているのも当然では?

それにビデオで取り上げられている2人は、いずれも
現在の自殺幇助合法化議論の中でも極論を説いている人たち。

自分がお荷物になると感じない子どもたちにも
高齢者や障害者は社会のお荷物になるよりは死ぬべきだという価値観を植え付けかねない。

……というか、そういうことを狙っている人たちが世の中には現にいるから
こういうビデオが作られてしまうんだろうな……というのが本当のところなんだろうと私は思うし、
一番コワいのはそっちなんだろうな、とも思う。

しかし、自殺幇助は英国でも今なお違法行為です。