「死んだ」と偽り、医療職が組織的に新生児を売買(スペイン)

スペインで、とんでもないスキャンダルが浮上している。

医師や看護師が密かにネットワークを作り、
新生児を親から盗みだしては売りさばいていたとして、

産科クリニックの元従業員や違法な養子縁組をした親の証言を証拠として提出し、
スペインの病院で過去50年間に姿を消した261人の新生児の親たちが
検事局長に捜査を求める嘆願書を提出。

子どもは死産だったとか生まれてすぐに死んだと
医師、看護師、尼僧、僧侶みんなが母親にウソを付いていたという。

問題が指摘されたマドリッドのクリニックを調べたジャーナリストは
冷蔵庫に入った赤ん坊の遺体1体を発見した。
子どもが死んだ証拠として親に見せるためだったのでは、
との憶測を呼んでいる。

The National Association of Irregular Adoptionsでは、
今のところDNA鑑定で証明されたケースもあり、
ただ盗まれた疑いだけのケースもあるが、
いずれにしろ組織的犯罪だと考えている、と。

被害者となった親の多くは、出産当時、
元気そうに見えたのに生まれてしばらくして死んでしまったと聞かされており
遺体に会うこともなく埋葬も病院が引き受けたという。

医療職として患者に対して高圧的に出ることによって騙しおおせたこと、
狙われたのが特に貧しい患者だったことが共通している。

しかし、葬儀が行われていれば書類が残っているはずだが、
それらの子どもたちは生まれた事実そのものが記録されていない。
その事実こそが、疑わしいケースの多さを予感させる。

確かに我が子の泣き声を聞いた、という母親も多く、
今どこにいるのかを知りたい、あなたを捨てたわけじゃない、盗まれたのだと伝えたい、と。

ただ、話がややこしいのは、
1987年に養子縁組法が改正されるまで、規制が緩やかで、
独身女性が産んだ子どもは秘密裏に養子に出されるケースが多かったこと。
そこにも秘密のネットワークが介在し、最初から養母が生んだように
出生届が改ざんされることも行われていたという。

フランコ時代には
危険な左翼思想を持つ母親からは、生んだ子どもを取り上げることもあった。

秘密の組織はその時代にできたものではないか、
そういう子どもを売って儲かっていたので、フランコ以降も続いたのではないか、と
推測する人もある。


Spain seeks truth on baby-trafficking claims
The Guardian, January 27, 2011