欧州人権裁判所に「死の自己決定権」提訴(独)

2005年の2月にスイスのDignitasで幇助を受けて自殺したドイツ人女性の
夫であるUlrich Koch氏(67)が、ヨーロッパ人権裁判所に、
自殺幇助を違法としているドイツの法律は
個人のプライバシーと尊厳のある死の権利を侵していると訴えた。

Koch氏の妻は2002年に自宅前で転んで首から下が麻痺し、
人工呼吸器をつけ、介護スタッフの常時のケアが必要となった。

Koch氏によると、
妻は「ひどい痙攣があり」、「車いすに座っているのも困難だった」。

マヒしていることを理由に、自殺幇助を求めて、2004年に
ドイツ連邦の医薬医療機器機関(Federal Institute for Drugs and Medical Devices)に
自殺に必要な薬物を手に入れる許可を求めたが
ドイツの麻薬法に違反するとして拒否された。

そこで夫婦は上訴し、その結果を待たずにスイスに赴いた。

妻の死後、妻に代わって訴訟を闘いつづけたKoch氏は
08年11月にドイツ連邦憲法裁判所で違法判決、
次いで今年、別の裁判所でも消極的自殺幇助のみ合法との判決が出て、
2度に渡って敗訴。

そこで今回、ヨーロッパ人権裁判所に提訴したもの。

万が一、認められた場合には影響は大きく、
今後の展開が懸念される。


それにしても、この記事でも妙な表現が目につく。

医薬品機関に却下されたために
Couple forced to go abroad.
「夫婦は国外へ行くことを強いられた」。

それから、
Because she was paralyzed, she appealed for active help to end her life.
「マヒしているので、死ぬための積極的な助けを求めた」。


ちなみに、Dignitasで死んでいる外国人のうち、最も多いのがドイツ人で、
08年時点で既に500人を超えている


なお、ドイツでは今年の夏、消極的安楽死に合憲判決が出ていますが、
以下のように、その際にはAP通信やNYTが自殺幇助と問題を整理せず、
グズグズに報じていました。