自殺幇助の元GPに英国公訴局長「証拠はそろっているけど、公益にならないから不起訴」

去年から、以下のエントリーで追いかけてきたDr. Irwinに関する続報。



すい臓がんの男性をパートナーの男性と一緒にDignitasに連れて行って
自殺させたとして去年逮捕された自殺合法化アドボケイトの元GP、
Dr. Irwinについて、

起訴するに十分な証拠はあるが、起訴することは公益にならないと
DPPのStarmer氏が判断。

共感(思いやり)からしたことで、行為を認めているし、
警察の捜査にも協力的だった、と。

付き添って行ったパートナーの男性も不起訴。


でも、去年DPPが出したガイドラインの起訴ファクターの14番目は
医師や施設職員など人が、職務で自分が担当する人に幇助を行った場合が挙げられている。

たしかにIrwin医師は既に現役を引退しているから
直接自分が医師として担当している患者ではないかもしれないけど、
もしも医師でなかったら、このカップルとこういう形で関わることがなかったとすれば、
ある意味、あてはまるのではないか、ということと、

もう1つ、
Irwin医師が自殺幇助合法化アドボケイトであることを考えると、
彼の動機が必ずしも100%、患者への共感だけだったと言い切れるのかどうか……。

これまでのエントリーで読んできた記事では、
Irwin医師はFriends at the Endという合法化アドボケイト団体の創設者で
法改正を訴えている人物。

今回の事件でも、自ら「証拠を出すから逮捕に来てみろ」と挑発することで
問題提起と合法化議論の喚起を狙った行動が明らかなので、

Dignitasに連れて行ったり、その旅費を出しただけで、
直接的に自殺に手を貸したわけではないにせよ、

そういう人物の行動が不起訴になるということは、
いったい、どう考えたらいいのだろう。


ガイドライン後に、当ブログの目に付いた限りでは
以下の2つの判断があり、いずれも不起訴になっています。



先月、Hastings Centerレポートに
DPPのガイドラインを「司法の錬金術」だと書いた論文がありましたが、

実際、これでは、
一体どういうケースなら起訴が公益に当たるというのでしょうか?